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十話-2 ページ12

えっ、どこ行っちゃったの風見さん。


相当酔っているし、もし迷子になって事故にでも遭っていたら……。



思わずサアッと血の気が引く。



そんな私の様子にはお構いなしに男たちは話しかけてくる。



「知り合いいないじゃ〜ん」


「ねぇ、どうせ暇でしょー。俺たちと遊びに行こうよ〜」



ハァ?暇じゃないですけど?



知ったかぶりにイラっとするが、それよりも重要な情報をさっきから全然吐いてくれない。



下卑た顔と腰に回された手がさっきから鬱陶しくて嫌だけど、ここは大人しくついて行った方が……。



男たちからの誘いを交わすのに苦労していたその時。



「すみません。彼女、僕と待ち合わせしているんですよ」



この声は……


はっとして後ろを振り返ると、そこには降谷零が。



「な、何で……」


ここに、と言う前に降谷零が口を開く。



「酷いじゃないか、ずっと待ってたのに」



にこにこと笑顔を浮かべているが、目が笑ってない。



怖っ!


ここはまず謝っとこう。



後で叱られるんだろうな〜と思いつつ。



「ご、ごめん、ね?」



謝りつつ恐る恐る降谷零の顔を見上げると、一瞬面くらったかのような表情を浮かべた。



え?


何か間違えたのかなと少し焦っていると。



「おい〜兄ちゃん。話し中で悪いが、困るんだよな〜。俺たちこれからこの子とイイ所行くところなんだよ」



「わりいけど帰ってくんね〜?」



な?姉ちゃんからも言ってやってよ〜と言われ、降谷零を前にどうしようと悩む。



「あの……」



「残念ながら」



私の言葉を遮るように降谷零が話す。



「そのイイ所とやら。先に約束していたのは僕ですから」



え?



な、何を言って……。



その瞬間、顔が熱を帯びた。



腰を離してあげたらどうです?と言う降谷零に、男達も負けじと声を荒らげる。



「でもよ〜、いくらイケメンな兄ちゃんでも女を待たせるのは良くないだろー」



「ここは俺たちに任せて兄ちゃんは帰りなって」



男達はヘラヘラと笑う一方、降谷零は急に真顔になる。



「彼女が合意していたら大人しく身を引いたんですがね。いい加減譲ってもらえますか。……傷つけたくないので」



降谷零の発する声に、私までも思わず背筋がゾワリとする。



「……チッ。警察沙汰になっても困るからな。早く消えちまいな」



「お気遣いいただきありがとうございます。……さぁ、行こうか」



そして真顔から笑顔に戻った降谷零と共に店を出た。

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小夜時雨(プロフ) - 二十八話と二十七話アップする順番間違えちゃいました……(__)その前から読んでいただければ楽しんでいただけるかと(^^) (2021年4月1日 0時) (レス) id: f0aebf3cd7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:小夜時雨 | 作成日時:2021年3月7日 11時

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