Blindly Obeys (ページ39)

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「ところで結局グク君のアレは?
私の左手がいうこと聞かないのと関係してる?」

彼ら7人のアジトとやらに案内される道中、ずっと聞けなかったことを聞いてみた。

「あー、関係あるよ。それ、俺の能力の反動。
さっきのは黄金化って言って俺のもう一つの能力。
自分の体の一部を金に変えることができる能力なんだけど、そうやって硬化した場所は解いた後も暫く筋肉が緊張して強張って使い物にならなくなるの。
柔らかいとはいえ金だから攻撃力は高いんだけど、その分反動も丸1日くらい続くから学校には言ってない。いわば切り札みたいな感じなわけ。」

「能力って1人1個じゃないんだね。」

「Aは、人間の脳がどれだけ使用されてるか知ってる?」

何だか前より少しフランクな印象になったナムジュン先輩が一歩前を振り向いた。
そんなこと、考えたこともない。首を横に振る。

「これはあくまで都市伝説的なものだから、実際の値は分からないんだけど10％にも満たないかもしれないらしいんだ。だから、残りの90％が使われたと思えば、ありえない話ではない。」

「もしかして、皆さんがグク君を黄金マンネと呼ぶのは……」

「はは、そう。勉強以外器用なのもあるけど、シンプルに能力が黄金だから。」

なるほど、ハイセンスなあだ名だと思ったが違ったみたいだ。
こういう場面だけを見ると、本当に普通の男子高校生なんだなぁ。
　
「まぁ、Aに反動を引き受けてもらうことになったのは申し訳ないけど。」

そう思って左手で殴ったから許して、と加えて私の左手を解す様ににぎにぎとするグク君。
あ、いいこと思いついた。

「私左利きなんだけどなぁ。」

「えっ嘘。」

「うん嘘、ごめんねからかっただけ。」

そもそも私の右隣に座っているのに今まで気づいていなかったんだろうか。
まぁ、あまり普段の生活で気になることもないが。

「なんか、変わったねA。」

「うん。なんか、自分の意思を通すのも大変だけどいいね。」

笑いあったところで前を歩く先輩方が立ち止まる。
見ると、小さいプレハブ小屋。
ここは私の通学路でもあるが、全然気にしたこともなかった。
背中を押して招かれた先は、流石男7人の居住地というか、お世辞にも奇麗とは言えないこじんまりとしたワンルームだった。