27話 迷走 ページ30
無駄に入り組んでいる校舎を走った
まだ少し振り払った手が震えている
正直、私にもわからなかった
どうして涙したのかも、どうして拒絶したのかも
行方不明が自分の中に埋もれてる
思えば、二年生になった途端
まるで話が進むかのようにあの人達との関わりが増えていった
櫓千と赤城蘭が入学してからというもの、何故か私も巻き込まれた
今まではただ挨拶をする程度だったのにも関わらず、だ
まるで誰かがこの世界を動かしているかのように、監視カメラで見ているかのように、チェスを動かしては戻して取って、それの繰り返し
『……はぁ、はぁ…』
気づいたら、3年生階に着いてた
あーあ、戻らなくちゃな…
まだ泣き腫らしている目を近くの水道で洗って、少しだけ窓を見た
『……』
暮れてはいなかった
まるで″まだ″と言うように
「……A?」
くるり
振り向くと、呆然と立っているそらるさんこと一ノ瀬先輩がいた
『一ノ瀬先輩』
私はちゃんと言えてるつもりだった
「……」
一ノ瀬先輩は何も言わずに、ただ腕を引き寄せて抱き締められた
やめて欲しい、そんなこと
『ッ!』
離せない、離れられない
ただただギュッと抱きしめられる
〔____ね〕
〔____して!!〕
やめてやめて、思い出すから
涙なんて零したら止まらなくなるから
カラカラに乾いたままでいいのに
どうしてそうやって、水アイをあげようとするの?
何も言わない、何も喋らない
ただ抱きしめる力を緩めない
『……ッ、や!!……やだっ……』
ドンッ
怖い
それだけが私の頭の中を支配する
何が?どうして?
先輩はこんなにも温かいのに?
強引に突き飛ばしてしまった
「落ち着けよ!!」
ハッとするも、私は抵抗をやめない
『っっっ!!やだっ!!離してっ!!』
ただ誰にも見られず1人で泣きたかった
……泣きたかったの?私は。
「A____!」
『っ、うわぁぁぁあっ!!ぁぁあ!ヒック……わぁぁあっっ!!』
初めて自覚した
自分がこんなに泣けることを
私の声だけがその階に響き、木霊する
先輩は、さっきよりも優しく、私をだきしめた
ごめんなさい、
こんな私、ダメなのにね
〔あんたなんか、辞めちまえ〕
〔一生人生でも主役になんかなれやしないくせに、でしゃばるから〕
〔鬱陶しいんだよ、脇役が。〕
〔なんでこうも台無しにするかな〕
先輩、
私は主人公になれません
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パチュリア - 林檎さん» いやもうほんとうるさくて申し訳ない…ありがとうございます! (2017年4月15日 12時) (レス) id: a9fbc73fe2 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - パチュリアさん» おおおおいつも本当にありがとうございます!!あの、編集の所にある地球マーク押せば出ると思います! (2017年3月21日 15時) (レス) id: 9351c6d4fb (このIDを非表示/違反報告)
パチュリア - 相変わらず素晴らしい終わりですね!(泣)8888888888あと質問なのですが、新作アンケのようなリンクを貼る方法を教えて下さいませんか!? (2017年3月21日 13時) (レス) id: a9fbc73fe2 (このIDを非表示/違反報告)
みゃのさん - 林檎さん» ありがとうございます。みゃのさんが林檎さんや読者様に迷惑をかけていたなら、全力で謝ります。でもみゃのさんも一応、作品を出している人間です。貴女のアドバイス有り難く使わせてもらいます。 (2017年3月20日 21時) (レス) id: 375ad31803 (このIDを非表示/違反報告)
林檎(プロフ) - みゃのさんさん» みゃのさん自体が、悪気があってやったわけではないと信じているので、今後気を付けた方が良いのではと思います。長々と失礼致しました。良い作品を作ってくれること祈っています(´▽`) (2017年3月20日 21時) (レス) id: 9351c6d4fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:林檎 | 作成日時:2017年2月8日 15時