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「やぁやぁ、ご無沙汰!」

太宰が、愉しげに笑った。先程の様子は嘘のように無くなり、今は少し古びた小さなアパートに来ていた。

 「あ、太宰ちゃんじゃないの。如何したの?」

太宰と話しているのは、其のアパートの大家の叔母さんだった。どうやら、太宰と知り合いらしい。

 「否、何ね。暫く家を空けようと思うのだけれど、其の報告をしに来たのだよ。」

 「あらぁ、そうなの?解ったわ。」

太宰はにっこりと笑って大家に会釈する。家を空ける、と言うのは、太宰がしんぺい神と話し合って決定したことで在る。太宰の食生活や精神的な弱さを見たしんぺい神は、太宰を此の状態で一人にするのは良くないと言って聞かなかった。

最初は頑なに拒否を繰り返していた太宰で在ったが、途中から少しずつ勢いに負け、結果的に暫くはしんぺい神の見張りのもと、W国の城の一部屋を借りることとなった。

 「…じゃあ、叔母さんまたね。」

ひらりと手を振った太宰に、大家の叔母さんはにこりと愛想の良い笑みを浮かべて手を振った。

 「____あ、そうそう。少し待ちなさんな、太宰ちゃん。」

ふと、何かを思い出したように叔母さんは言った。太宰は振り向き、其れから不思議そうに首を傾げた。

 「此れ、太宰ちゃん宛の手紙よ。昨日届いていたの。」

 「おや、そうなのかい?わざわざ有難う、


次こそ、叔母さんと手を振って別れる太宰。手紙を受け取った太宰の顔は何処か固かった。

 「よし、私が行きたい場所は終わりだよ。____付き合わせて悪かったね。あんな場所に、」

太宰が申し訳なさそうに眉を下げる。そんな太宰の様子を見、後ろに居たコネシマとゾムは、顔を見合わせてから言う。

 「別にええんやで。」

 「そうそう。気にしやんでや。」

優しくそう言った二人に、太宰はころりと表情を変えて、可愛らしく笑った。其れは、年相応の幼い笑顔で在り、とても愛らしかった。

____

 「四年前の交渉は、此方としても素晴らしいものでしたよ。」

白衣の男_森がにこりと笑う。似たような笑みを浮かべたオスマンは、其れは其れは、とにこやかに返した。

二人の表情から、ピリッとした空気が流れる一室。思わず、側に居た部下が汗を流す程だ。

 「其れで?今回の交渉は如何しますか?私達W国側からすると____、」

着々と、しかし確実に、交渉は続く。此の二人の会話によって、少しずつ変わり行く未来を、太宰達は未だ知らない____。

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めい - 好きです!もっと評価されるべき!次の更新待ってます! (2020年4月5日 21時) (レス) id: f3d3ee67c0 (このIDを非表示/違反報告)
シラゆ - コメント失礼します(小声)表現の仕方や夢主の設定、とても心に刺さりました。勉強不足を感じさせられるほどの語彙力、尊敬します!文スト?を知らない私でも物語にのめり込めました!更新頑張ってください!コメント失礼しました。 (2020年3月31日 9時) (レス) id: dc5a42bdb9 (このIDを非表示/違反報告)
すりーぷ(プロフ) - 好きです……その場その場の背景?が見えて…なんと言うか……とっても綺麗で文ストの雰囲気等も確りとあって……続き楽しみに待ってます…!応援してます、頑張って下さい!(語彙力が無くて…) (2020年3月30日 19時) (レス) id: 6c2b3e4a08 (このIDを非表示/違反報告)
うみ(プロフ) - 情景描写がとっても綺麗で、1話読んだら「あ、これ好きだな」って思いました!文ストの雰囲気を残しつつ独自の世界観もあって続きが楽しみです!!頑張ってください!応援してます! (2020年3月28日 9時) (レス) id: c77cf16874 (このIDを非表示/違反報告)
暁月 - あ、好きです。 とっても読み易くて、なんというか…「わあ…!!」となるような感じの……はい。(これが語彙力がない人の見本です)   更新頑張ってください!応援してます。 (2020年3月27日 22時) (レス) id: b7a49d6e6e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:沙藤 | 作成日時:2020年3月27日 2時

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