星と記憶-S-O- (ページ16)

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『で、何故ここに？』

「どんな人間だったのかなぁって思って」

『どんな人間、だったか……』

「小さい頃、どんな感情でここに来てこの景色を見てたのかな～って」

確かに青い三角屋根を見つめていた気がする

手前の木々を抜けて遠くに見える家々と、微かに山の稜線がうねっている

ふと木々の中に白い建物があったことを思い出した

両親が最期に入院していた病院だ。

ここまで徒歩5分くらい、病院の帰り道にそういえば抜け出した気がする

『多分ですけど、楽しいって気持ちと悲しいって気持ちがあったと思いますよ』

「悲しい？」

俺の隣に座っていった

『なんとなーくですけどね。悲しい事があったとき、その気持ちを一緒に考えてくれるのがこの場所、つまり癒やしの場だったって事です』

「癒やしの場はかぁ………」

　

そうかもしれない。

俺もそんな感情を持ってここにいたのかもしれないな

俺は夕方、綺麗な夕陽が落ちるまでここにいた

その瞬間、もう見れないのだと悟ってしまい泣いてしまった