＃248 ページ3
岡「絵は？持ってくるって言ってただろ」
「あー、これ」
岡田に持ってきた絵と新しく作り替えたメニューを渡す。
まずはメニューを見て「いいじゃーん」って、周りのスタッフにも見せて回る岡田。
岡「やっぱ、お前に頼んで正解だったわ」
「喜んでもらえて良かったよ」
まだ立ち直れないおれ。
ランチのピークを過ぎてるからか、店に客はほぼいなくて、スタッフのほとんどが新しいメニューを見に岡田の周りに集まってる。
もちろんAちゃんも。
岡「絵もサンキューな」
「気に入らなかったら言って。描き直す」
気に入らねーってことはねーだろって、絵を取り出す。
周りのみんなも大注目。
なんだか恥ずかしいな(笑)
岡「向日葵？」
「そう。翔くんとの旅行先で見て、夕日の加減とか向日葵の感じとか、なんかすげー良くて描いたんだけど、よく考えたら夏しか飾れねーかなとか思って…」
岡「いやいや、まじでいいよ！俺、絵とかよくわかんねーけど。店の雰囲気に合ってるし、俺好きだわ。向日葵だけど、絵の雰囲気が夏ぽい感じじゃないから、年中大丈夫っしょ！」
素直に喜んでくれる岡田に、描いてよかったわって安心した。
岡「お礼に飯奢るから食ってけよ」
「絵かいたら、２ヶ月ただ飯じゃなかったか？(笑)」
岡「記憶にねーな(笑)」
「おい！」
岡「ははっ(笑)なに食う？」
「いや、今はいい。コーヒーだけちょうだい」
岡「はいよ」
コーヒーを淹れてくれたあと、岡田はディナーの準備あるからって仕事に戻った。
店は7時過ぎから客が多くなるらしくて、さっきまでいた客はいなくなって、今はおれだけ。
昔っから店持ちたいって話してた岡田は、大学で経営を学んで、わりとすぐに独立した。
はじめの方こそ、あんまり人来なくて悩んでたりしてたけど…それでも、好きなことを仕事にしたあいつは毎日楽しそうで。
夢を叶える前に挫折したおれとしては羨ましい限りだった。
まぁ、教師にお陰でAちゃんと出逢えたんだけど。
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作者名：Haruno*
| 作成日時：2017年1月15日 8時
