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15話 大和の言葉 ページ15

ぼやけて、でも輝いた道子の目はおじさんを映していた。おじさんは、にこやかにそうですか、と一言。道子は目線を何秒か硬く泳がせ、潤んだ瞳をぱちっと閉じた。




 すると、1モルもの涙が落ちて、フローリングにぽたっと音をさせた。おじさんは動揺もせずに、優しく道子に微笑み続けた。まるで全てを悟っている、そんな表情と口元だった。




 「もう、やめてくれ……。




 道子さんが疑われるのはもう見てられない。聞いてもいられない。耐えられない。




 それに、俺が兄ちゃんの真似をしようなんて無理だったんだ」




 「真似……?」



 道子は大和の顔を見上げ、そう不可解に尋ねた。顔を合わせたふたりの目には、世にもしょっぱく塩臭い涙が溢れ出していた。





 「ああ。俺は、双子だったんだ。道子さんは気づいてないかもしれないけど、兄ちゃんは商業、俺は農業高校に通っていた。




 だから接点も無くて、道子さんは俺のことを知らない。俺は兄ちゃんの自慢の弟じゃなかったから、誰にも話さなかったし聞いたこともないと思う。一人っ子って言ってただろ?




 兄ちゃんが彼女を家に連れて来る、お前は絶対顔を出すなって言われたんだけど、兄ちゃんがどんな女の子を連れて来るんだろうって思ってこっそり見たんだ。




 髪の毛が綺麗で、色白で、目がキラキラ輝いてて。少女がそのまま大人になったみたいで。




 一目惚れだったんだ。




 それから、結婚したって聞いて。何で兄ちゃんばっかり幸せになるんだって思ったよ。兄ちゃんは上京して立派なセールスマン、俺は田舎で牛の世話だ。雲泥の差だぜ。




 牛の世話なんかしてても俺、道子さんのことが忘れられなくて。兄ちゃんの立場と入れ替わろうって思ったんだよ。




 だから、このアパートに張り付いて兄ちゃんの行動全部観察してたんだ。半年前から。




 靴の脱ぎ方、ただいまの言い方、スーツの脱ぎ方、電気をつけない場所があること、食事中は俺は何処に座るか、どんなテレビを見るのか、全部完璧にして。




 脳内シミュレーションを何度もして、家に入って一通りやって、完璧になったのが今日だったんだ。それで、兄ちゃんに電話をかけたんだ。嫌々来てくれたよ。

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設定タグ:殺人事件 , ファンタジー , ミステリー推理   
作品ジャンル:純文学, オリジナル作品
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ナンシー・ハジェンズ(プロフ) - 鳥兜さん» お久しぶりです!!!!!!! ありがとうございます。鳥兜さんからその言葉がもらえるとは嬉しい限りです。ぜひ、暇なら見てやってください。 (2014年8月26日 10時) (レス) id: 5c4ab849ae (このIDを非表示/違反報告)
鳥兜 - イベントで見て来てみちゃいました!w同じうらつくでの執筆者として憧れます…。他の作品も読ませていただきますね^^ (2014年8月26日 10時) (レス) id: f19bcce8ab (このIDを非表示/違反報告)
+a(プロフ) - ナンシー・ハジェンズさん» なんてこった!!今すぐ天使健全保護会←(意味がわからない)になって、不正行為を取り締まりますっ!エンジェルパイだって!?(やっぱりナンシー・ハジェンズ様は最高ですわっしょい!)。 (2014年7月26日 20時) (レス) id: 20cb8101ab (このIDを非表示/違反報告)
ナンシー・ハジェンズ(プロフ) - +aさん» やめろよ、写真をネットに投稿するのは。捕獲されてエンジェルパイにされてしまう。 (2014年7月26日 11時) (レス) id: cd06794b33 (このIDを非表示/違反報告)
+a(プロフ) - ナンシー・ハジェンズさん» それを目撃して、カメラに収めるべくビックカメラいくぜ。笑笑 ナンシーさんのギャグセンスが好きです笑 (2014年7月25日 16時) (レス) id: 20cb8101ab (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナンシー・ハジェンズ | 作者ホームページ:   
作成日時:2014年7月3日 16時

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