夜の襲撃 弐(続) ページ24
side 太陽
表向きは笑顔でいても、裏では笑顔一つ見せていない。
俺は、もしかしたら踏み込みすぎかもしれない。
十二歳の時、そう感じた。
それからは、何故か、突き放す様なことを言ってしまったり、言葉がきつかったりする事が増えていった。
あいつは何も悪く無いと、分かっている。どうしてだろうか。
あいつは、自虐的で、すぐ他人と自分を比べて、自分を落とす代わりに他人をあげる。
要するに他人思いが行きすぎた、俺からしてみれば、有難いのだが少し残念と言うか、何というか。
あいつが、裏で色々俺と比べられて、その度にあいつが肩を落とされながら、何か悪口めいたことを言われているということは、随分前から気付いてた。
正直、俺はあいつの隣に並べるほどの実力は、自分には無いのだと、分かっていた。
一人で、人気(ひとけ)のない所で、ずっと竹刀を振るっていたり、そこに俺は入っていって、一緒におにぎりを食べながら、練習したりして、あいつと過ごす事が、一日の楽しみだった様にも感じている。
誰とも比べられないで、俺が唯一、あいつを認める事が許された時間。
でも、やはり、
俺ではあいつを変える事は、出来ないのだろうか。
***
side A
「善逸さん、ちょっと刀を抜きましょうって!」
「死にたくないいっ!!」
絶賛逃走中の僕たち。
実のところ、あの人の耳の良さに助けられた場面もある。
だが、一向に刀は抜かないのだ。
「死にたく無いなら刀をまず抜きましょうよ!」
「戦いに行ったって返り討ちにされちゃうに決まってんじゃん!」
そう言いながら、僕の手を引いて、鬼の攻撃から守ってくれるあたり、かなり良い人だと思う。
とその時。
頭上から子分が降ってくる。
*逃げ道はない*
*逃げられるなどと甘い考えはするな!*
「……やけくそだ!」
自分の刀を抜いて、精神を研ぎ澄ませる。
この前呼吸を使った時も、こんな感じだった。
今なら……!
「葉の呼吸・壱ノ型……!」
頼むっ!
「葉の舞いいいっ!!!」
言葉は少し変だったが、僕は、二回目の呼吸を正解させた。
あたりにぶわっ、とはを豪快に散らし、そして、三体纏めて鬼の首を斬った。
「よっしゃ!」
しかし、入隊試験で一度体験した自分のミスを、今回も発動させることになった。
「A!!後ろっ!」
「え?」
鬼の挟み撃ちを、油断した隙に仕掛けられていた。
あ、自分の首が吹っ飛b……
直後、耳をつんざくばかりの雷の音が、辺りに響いた。
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ココロ - 8000hitありがとーございます! (2020年4月3日 18時) (レス) id: 7279136435 (このIDを非表示/違反報告)
ココロ - まさかの5000hitありがとうございます。評価も、少しですが上がっていて、嬉しかったです…! (2020年3月11日 11時) (レス) id: 7279136435 (このIDを非表示/違反報告)
ココロ - 2000hit,有り難うございます! (2020年2月29日 18時) (レス) id: 7279136435 (このIDを非表示/違反報告)
ココロ - 1000hitという文字をこんなに早く見るとは思ってませんでした……ありがとう御座います! (2020年2月22日 17時) (レス) id: 7279136435 (このIDを非表示/違反報告)
ココロ - 260hit,ありがとうございます! (2020年2月21日 14時) (レス) id: 7279136435 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ココロ | 作成日時:2020年2月6日 19時