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月が去っても、僕は、月の言葉が何故だか、妙に頭の片隅に引っ掛かっていた。
紅い着物に、月模様が左胸についていて、藍色の袴を穿いた、亜麻色の髪の青年。

「頭から離れないなあ……」

とても不思議な人物だった。
しかし、いつまでもこうでは、そのまま死んでしまう。
まあ、死ぬのは嫌だし、もう少し本気を出していくか!
***
「生き残った……」
大きく息を吐く。ようやく、緊張から解き放たれた感覚が押し寄せてくる。そこで、月が生き残っているか、ということが、脳内をかすめた。姿が見えない。

「!」

よく見ると、かすり傷だらけなものの、石畳の端っこの方に、黒髪の人と一緒に何か話をしている。
月が、こちらに気づいたようで、僕に微笑んできた。

『お互いに生き残れましたね』

目がそう言っていた。僕も、伝わるように、目に神経を集中させるようにして月を見つめ、頷いて見せた。

「どうした、月」

隣の人が話しかける。こちらは、月とは対照的に、物静かで、少し厳しそうな人だった。
藍色の着物に、抹茶色の袴。その声に月が、

「何でもありません」

と和やかに応じた。
もしかして、彼が月の幼馴染み、太陽だろうか。ふと、そう感じた。
そこに、変なおかっぱの少女が、二人入ってきた。
「おめでとうございます」

そう言われて、改めて、あんなたくさんの人がいた中で、月、(多分)太陽、僕、そしてもうひとり、真ん中からズレたところにいる少女以外、生き残ったものはいないのだと、思い知った。

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ココロ - 8000hitありがとーございます! (2020年4月3日 18時) (レス) id: 7279136435 (このIDを非表示/違反報告)
ココロ - まさかの5000hitありがとうございます。評価も、少しですが上がっていて、嬉しかったです…! (2020年3月11日 11時) (レス) id: 7279136435 (このIDを非表示/違反報告)
ココロ - 2000hit,有り難うございます! (2020年2月29日 18時) (レス) id: 7279136435 (このIDを非表示/違反報告)
ココロ - 1000hitという文字をこんなに早く見るとは思ってませんでした……ありがとう御座います! (2020年2月22日 17時) (レス) id: 7279136435 (このIDを非表示/違反報告)
ココロ - 260hit,ありがとうございます! (2020年2月21日 14時) (レス) id: 7279136435 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ココロ | 作成日時:2020年2月6日 19時

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