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男は、Aの問いに不思議そうに首をかしげた。
「ほんまに、あんさん貴族なん？思っとったのと違いすぎて困惑してまうわ」
『あら、面白そうだからそれもいいわね』
父親は居ないと言うのに、律儀に気高く、という意志を持つA。
目の前の男はやれやれ、と肩をあげた。
「聞いた通り、強がりなんやな」
『...聞いた通り、ということは誰かの差し金なのかしら？』
「んふふ、それは言えへんよ」
冷たい目で睨まれAは口を閉じる。
いくら父親に従順だからといって、命は惜しいのだ。
周りの質素な感じから離れたAの姿を見下ろし、男はため息をついた。
「"アイツ"が友達やなかったらこんな仕事受けへんわ」
ぼそ、と呟いた声。
しかし、確かにAの耳にその言葉は届いていた。
「なんや、起きとったんやったら教えてくれや」
「あ？寝とったんは誰やねん」
あのときの二人が揃った。
口喧嘩を交わしながらも、目線はAへと向けられていた。
「はぇ〜、趣味悪いな、アイツ」
「...そうか？俺は綺麗やと思うけど」
「童貞やからそう思うねん」
「は？お前死にたいんか？」
中々の過激な言葉が飛び交うが、高度な下ネタはAには伝わらず、首をかしげるばかり。
「お前、その目ぇどうかならへんの？」
後からやって来た癖して気軽に話し出す男。
目、というのは生まれてこの方恨み続けているつり目のことだろう。
『残念ながら生まれ持ったものなので』
「ほーん...」
興味なさげに返した男に舌打ちを心の中で打つ。
「そろそろ自己紹介せなあかんのやないか？」
「えー...しちゃう？」
「せな面倒やろ。この誘拐の目的とかも話したらなあかんのに。」
「そっかぁー」
コロコロと雰囲気の変わる二人を見ていたAは、急に元気のある方の男に声をかけられ驚く。
『...なんですか？』
「驚いた？」
『いえ、驚いていませんが。』
「嘘、驚いたやん」
『驚いていません』
「...まぁ、ええけど。」
軽く反抗を取ってみたが、殺してやる！とか物騒なことはなかった。
ある程度の常識を心得ているのだろう。
Aの中では考えもつかない道徳心のないやつが誘拐や殺人をすると思っていたため、意外ではある。
「自己紹介しよか。さきどーぞ」
にこ、と笑われ複雑な感情のまま顔をあげる。
あまりにも爽やかな笑みに信用してしまいそう。
でも、誘拐犯なんだ。
Aの頭は複雑に混乱してしまっていた。
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ぽっぷこーん(プロフ) - 神作ありがとうございます。29話、やっぱ、置きとったんかの所起きるですね (2021年10月12日 19時) (
レス) @page29 id: 23b3a74ded (このIDを非表示/違反報告)
レイ(プロフ) - 初コメ失礼します！私もその曲好きです！最近知ったのですがこういう悪役令嬢の話をよく読んでるので他の曲より歌詞がグッときますよね！これからも頑張ってください！ (2021年4月10日 22時) (レス) id: 409dd9da63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：咲々姫 | 作成日時：2021年2月14日 0時
