七日目 ページ7
『で、なんでそんなにも陰鬱そうにしてんのさ。友達沢山居るし、楽しそうじゃんか』
Aの質問に目を丸くさせる鬱。
『寝言で「辛い」なんて、中々言わないと思うんだけど』
「うっそ、俺言うとったん！？」
『...言ってない。でも、マジでそう思ってんだね』
反応を見たAは顔をしかめた。
ため息をついたあとぼそり、とか細い声で言った言葉は鬱には届かず、鬱は首をかしげるだけ。
『なんでもない。...全く、どうなったらそんなに追い込まれるの？』
勝手に椅子に座りだすAに、鬱は「まぁ、人それぞれあるんやし」とまるで宥めるように話してきた。
ムッとしたAは口を開く。
『アンタ、先輩にそんな態度するの？』
「え、先輩なん？」
ふん、と顔を背けたA。
鬱は驚きと共に、昼にあった話を思いだし服装へと目を落とした。
...しかし。
「Aちゃんって、此処の学校の子じゃないんやね」
鬱の溢した言葉に『は？』と中々に辛辣な言葉を返すA。
『誰があんな露出多い制服着るか、バカ』
その言葉に驚きながらも、「そんな子も居るよな、そりゃ。」と納得する鬱。
数年前、オスマンが制服のデザインを担当したらしいが、露出が多めだった。
ほとんどの女子はそれを嫌がりながらも、コートを着るだとかタイツで素肌は隠すだとかそれぞれ対応してきている人がほとんど。
だから、鬱は忘れていたが目の前にいるAの制服...藍色のベストの姿は紛れもない、制服変更前の制服だ。
『...で、歳上なんだけど。することは？』
「あーいや、ほんま...ねぇ、気ぃつかんかったわ...
...おん、ごめんなさい」
伸ばして逃げようとする鬱をきつく睨み付けたA。
鬱は逃れられず、素直に謝った。
『...で、あの子達は？』
「あの子達？」
『今日、屋上で駄弁ってたでしょ？』
「ああ...」
何処から見られていたのか...
いや、鬱たちがたまっている、屋上のある北校舎は本校舎より若干低い。
上から見ていたのかもしれない。
「あれは俺の友達。」
『友達？へぇ、陰鬱にしてる癖してあんな大人数いるんだね』
「抉らないでほしいんやけど」
真顔で傷を抉り返していくAに慣れた笑顔を引っ付ける鬱。
Aは余計に顔をしかめた。
『それやめて。キモいよ』
Aの言葉を聞くも、鬱は寂しそうに笑うだけだった。
「癖なんや、許してくれ」
Aはそれ以降何も言わず、鬱を見ていた。
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作者名：咲々姫 | 作成日時：2021年2月2日 16時
