六日目 ページ6
太陽の沈み始めている夕方。
鬱は寮へと入り「疲れたぁ」と荷物を放り投げた。
荷物はベッドの上に放り出され、鬱は着ていたスーツをハンガーにかけ、いつものように飴を咥えベッドに沈み込むように倒れかかった。
「ふぅ」
大きくため息をつき天井を眺める。
「面倒くさ」
体を持ち上げる。
お風呂にでも行くか、とお風呂へと向かった。
少し湿っている髪の毛をかきながら出てくる鬱。
鬱はスマホを持ち上げ、時間を確認した。
「8:23...微妙やな...」
鬱が窓の外を見ると既に夜になっていた。
「...夜食、なくてもええか」
そう言い大窓を閉じた。
暗くなった室内。
手探りで電気をつけると気持ち薄暗く感じてしまう。
「あはは、陰鬱な気持ちが膨れあがんなぁ」
昔からよく弄られキャラだった鬱。
しかし、やはり言われれば言われるほど、そうなのではないかと焦ってしまうわけで。
時々、冗談が心の奥で突き刺さる。
鬱は目を閉じ自分の思考へと落ちていくような感覚に見回れた。
動かなくなった鬱。
その部屋の前では心配そうな顔をしたトントンが、一度歩みを止めたのを鬱は知らない。
数分後、鬱の部屋の前を通ったゾムがノックをした。
「大先生〜？」
んん、と呻き声をあげ部屋の中から鬱が出てくる。
ゾムは鬱の姿を見て一瞬固まる。
「お前、寝とったん？」
「え？...ああ、気がついたら...まぁ、ゾムさんもあるやろ？」
「まぁ、あるけど...」
少し考えたあと、ゾムは「くっしゃくしゃやで」と笑った。
「うっわ、ほんまや...」
「らしくないで、大先生が髪のセット忘れるなんて」
静かだった鬱が笑いだしたからか、安心したようにゾムはそう笑った。
ゾムが「飯どうする？」と聞くと「今日は食欲ないんや」と鬱は笑った。
「そんなんやから、中学時代より痩せるんやで」
ゾムがそう言うと「あん時は食べ盛りやったから、」と言い訳する鬱。
ゾムは「ならええわ」と手を振りながら自室へと戻っていた。
それを見ながら鬱は部屋へと戻る。
「ねむ」
欠伸をする鬱に『辞めてって言ったじゃん』と言う声が降ってくる。
見上げると、Aが立っていた。
「Aちゃん、いつの間に...」
驚き目を見開く鬱にAはため息をついた。
『やっぱり気がついてなかったんだ...鬱が寝てたときから居たんだけど』
Aの言葉に「気付かんかったわ」と鬱は素直に漏らした。
それを見たAは再び大きくため息をついた。
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作者名：咲々姫 | 作成日時：2021年2月2日 16時
