四十日目 ページ40
「ふーん、肝試し、ねぇ...」
ばどきょーは二人の話に耳を傾けながらも手元にあるペンを弄っていた。
話を聞き終えため息をついたばどきょーは二人に向かい合った。
目が合う。
少ししてから、ばどきょーは口を開いた。
「お化け、見たんやな？」
「...おん、見たで」
間を区切りながら話すばどきょーに大切なことがあるのかと息を飲む二人。
「多分、花子さんやろ？」
「え？花子さんって、トイレの？」
「せや。ま、トイレではないし本名は花子さんやないけどな」
ばどきょーは一冊の新聞紙を取り出した。
「これ、昔の記事やけど」
開かれたページには、見覚えのある綺麗な艶のある髪をした女子生徒が写っていた。
見出しには大きく"女子高生、自穀か？"と書かれている。
年代的にばどきょーがこの学校にいるときではないようだが、比較的2、3年の出来事。
「...原口 向日葵」
「おん。渾名はひまわりからとって"はな"やったらしいで」
ばどきょーはそれを見せながらその女子生徒について話し出した。
「当時、社会問題にもなっとった女子高生の自穀やな
その子は別にいじめとかはなかったらしいけど、検査によって分かっとることは柵が崩れて落下死やったみたいや
ま、本人事態何が原因かは分からないもののカウンセリング必要やったりしたみたいやし、不思議な子やったみたいやな
家族から聞いた話やといつも笑顔でわからんとか言っとったっけな、確か
ただ、生というものに一途やったみたいやけど」
ふーん、と話が長くなったからか興味なさげにコネシマは適当に流す。
途中でソレに気がついていたロボロは申し訳なさそうな表情を浮かべていた。
「...ま、噂やと人間不信やとか聞いたけどな
内側がそれやったらだいぶよな」
コネシマとロボロは無言になる。
ばどきょーはつまらなかったか、と話題を変える。
「そういえば、二人で肝試しなん？男二人なんてむさ苦しくない？」
「いや、Aおったんすけどね」
「気がついたらどっか行っとったよなぁ」
ばどきょーは「自由人なんやな」と唖然といった。
「...ほんま、らっだぁに似とるんやなぁ」
ばどきょーはそう呟きながらも鬱たちの教室へ戻ろうと図書室を閉め出した。
コネシマとロボロは内心に秘める思いと、Aの言葉が複雑に交差していた。
__波長が合うものなら、ね__
その言葉は、波長が合うものなら幽霊が見える。
そして、見える幽霊は波長が合うものだと言うことを指していた。
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作者名：咲々姫 | 作成日時：2021年2月2日 16時
