二十一日目 ページ21
「...で、なんでお前こんなとこ居るんや。
死んだんやろ？」
ばどきょーはそう言い睨むようにAを見た。
Aは怯えたようにばどきょーを見たが、すぐに冷静さを取り戻し見つめ直す。
『死んだら此処にいては駄目なのですか？』
一応年上だからか、丁寧に言葉を繋いでいくA。
しかし、それは長年人と関わっていなかったからか、少しぎこちなさが残っている。
「あかんやろ...世界の理壊そうとすんなや」
『別に意図して此処にいる訳じゃないです』
「だとしても、此処にいる何らかの原因があるんやろ？」
『私は知りません。』
二人の目線がきつくなってきた頃、コンタミが間に入りそれを止めた。
「ほら、辞めようよ。そんなことやっても何も生まないって」
ニコニコとしているが、その声、瞳からは体が固まるほどの威圧感があった。
「...しゃあないな」
『すみません』
決してばどきょーには謝らないと言いたげにAはコンタミに向かい頭を下げた。
「まぁ、Aちゃん、少しずつね。あまり気に病まないで」
『...大丈夫です』
Aは顔をあげずに部屋を飛び出してしまった。
残された男性教師二人。
「...コンちゃん」
「ん？なぁに？」
「何考えとるん？」
黄色の瞳がドアからコンタミへと移された。
コンタミの目がばどきょーと合う。
コンタミは何処か機嫌が良さそうに口元を緩めた。
「どうだろうねぇ？」
控えめな笑い声も恐ろしく感じてしまう。
ばどきょーはその恐ろしさを噛み消すように口角をあげた。
しかし、それもひきつっているもの。
コンタミからはそれさえも笑みを深めるものでしかない。
「らっだぁは...どうするんだろうね？」
コンタミのぼそ、と呟かれた言葉。
ばどきょーは意味もわからず首をかしげる。
「コンちゃん...アンタは、何を知っとるんや？」
ばどきょーは素直にそう聞く。
別に家族以外に自分を認めてもらおうとなど思っていない彼からしてみれば、他の人間など皆異端。
しかし、俗に言う一般人からみても現状のコンタミは異様だ。
まるでらっだぁの全てを知っているかのような言いぐさ。
少し嫌悪感を交えて顔をしかめたばどきょーに、コンタミは肩の力を抜いた。
「何を、知っているんだろうね」
コンタミの溢したその言葉はそれ以上散策するなとばどきょーを刺激する。
口を開く気にもなれずばどきょーは黙ってその場から離れ仕事へと戻った。
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作者名：咲々姫 | 作成日時：2021年2月2日 16時
