十八日目 ページ18
「...はぁ、理由は知らないが分かった。
これ以上の散策は控えよう」
堪忍だ、と両手をあげるグルッペン。
「おん、ありがとう」
ゾムは軽く頭を下げた。
『...え、鬱。私を呼んだ理由は？』
「んぇ？」
食事を食べていた鬱は驚いたようにAを見た。
『何コイツ』
うざそうに呟くAを見て笑うショッピとチーノ。
「え〜と、呼んだ理由やっけ？
普通に、コイツらにAちゃんのこと話してもうたからなんやけど」
『はぁ？』
呆れたAが意味がわからない、と肩をあげる。
『確かに話してたけどさぁ』
「え、見とったん？」
『私じゃないけどね』
そう言いAが笑うと不思議そうに目を見開く兄さん。
『動物と話せるからね』
幼い子供のような笑みを浮かべるAに場は静かになった。
『...はい。』
何かを心得て黙るA。
挙動不審なその動きにシャオロンは大笑いし出す。
「なんやねん、今の」
Aは驚いたのか口を開いたまま唖然とする。
それでも笑い続けるシャオロン。
笑みにつられてか、数人笑い始める。
『えぇ...』
困惑したように声を漏らすAの肩に手が置かれる。
振り向く名前の目の前に見えたのは、黒髪。
『ひとらんらん？』
「お、お化けなの？」
『え？うん。』
「無理ぃ！」
自分から肩に手を置いたと言うのに距離をあけるひとらんらん。
Aは呆れてため息をつく。
「あ、もう時間や」
時計を見たトントンがそう言う。
Aはぼーっと見ていたが、オスマンが声をかけハッとする。
『な、何？』
「俺んとこの授業、受けにこうへん？」
『ぇ、でも先生...』
「大丈夫やって。ゾムに聞いたけど、見られへん人が多数らしいで」
自分を見えない人がいる、と言われ驚くA。
「やから、来てくれへん？」
『...分かった』
実は勉強が嫌いではないA。
久しぶりにしたいという気持ちが勝ったAは、その場で皆と別れオスマンの後ろへとついていく。
向かっているクラス、303ではオスマンとしんぺい神がいるらしい。
二人は好きなタイプを話しているが、中々にエグくてAは無視をしている。
部屋に入っていくと、一人の男性がいた。
他の生徒は座っているから、先生だろう。
「ん？
...嗚呼、もうすぐ鳴るから、早く座ってね」
「はーい」
男女に綺麗に分かれている席。
本当にAのことが誰も見えていないのか、チャイムと共に授業は始まった。
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作者名：咲々姫 | 作成日時：2021年2月2日 16時
