三十七日目 ページ37
『...もう終わったのかな』
「あんなに早く終わるもんなん?」
「いや、終わらんけど...軽く二時間は越えるレベル」
ロボロは不思議そうに教室を眺めた。
「ま、ええか。探そうや」
コネシマが歩き始めたのを追うように足を進め出す。
「...は?」
廊下に出たとき、コネシマが声を漏らした。
『どうしたのさ』
「なんや、あれ...」
震える指が一点を指差す。
そこには、大きな肉片があった。
なんの動物なのか分からないほどぐちゃぐちゃである。
焦ったように瞳の揺れるロボロと違い、ある程度冷静になってきた様子のコネシマ。
肉片だからかは知らないが真っ赤なそれはぐちゃぐちゃと音をたてている。
それは即ち、それが生き物であることを示していて、まだ生きている状態であることを同時に示している。
「...あかんやろ、あれ」
コネシマはロボロとAの腕を引いて走り出す。
「っ、なんやあれ!」
「わからん、けど嫌な気ぃする!逃げんで!」
ぐちゃぐちゃという水温は聞こえないが、コネシマは何かが後ろから迫っている気配に冷や汗が背中を伝う。
噂では女子生徒の霊が居ると言うものではなかったのか。
あれを霊と呼ばずして、なんと呼ぶ。
...否、化け物とも言えるだろう。
「てか、もしゾムや大先生がアレに会っとったら...」
ロボロは自分でそう言いながら顔を蒼白させる。
そんなとき、Aが爆弾を投下した。
『どこにその...お化け?がいるの?』
コネシマとロボロの息が止まる。
「見えへんのか...?」
『うん、私には女の子が見えたけど』
コネシマとロボロは唖然とした。
自身らが怖がっていたものを彼女は見えていないといったのだ。
そして、その代わりに女の子がいたと言う。
「それ、ほんまか?」
『え?うん。黒髪の女の子だったけど...
身長は多分ロボロとゾムの間らへん。綺麗な子だったよ』
Aが足を止め振り返る。
腕をつかんでいたコネシマは急に止まったAにつられるように尻餅を着いてしまった。
幽霊だからなのかは知らないが、質量が違うらしくAは『なに転けてるの?』と首をかしげた。
コネシマとロボロの目に写ったのは先程の塊。
風の音が隙間から聞こえるような、低い音が響くようなソレの声は耳に残り頭を締め付ける。
『...はじめまして、お化けさん』
Aはそれさえも聞こえないのか、平然と話しかけ始めた。
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作者名:咲々姫 | 作成日時:2021年2月2日 16時