三十六日目 ページ36
「俺らは行けるで。な、ロボロ」
「俺ぇ？まぁ、行けるけど...シャオロンは？」
「生憎俺はトントンやシッマやロボロのように課題終わってないんや」
自信満々に言うシャオロンに「明日提出のやつやろ？めんどいで」とコネシマは笑った。
とりあえず、シャオロンは来ないらしい。
一年生組は「面倒だから」という理由でそれを拒否。
メンバーはトントン、コネシマ、ロボロで決定した。
・
放課後、17:00頃。
学校の前に集合した一同。
多少コネシマが遅刻したが誤差の範囲内だろう。
「女の霊って言っても他の話ないん？」
「コネシマ知らないくせに来たんか？」
コネシマが口を尖らせる。
ロボロは「何のために来とんの」と苦笑いを浮かべた。
Aはキョロキョロと辺りを見渡していた。
「なんか見える？」
トントンに聞かれAは『んー、』と声を漏らした。
『地縛霊がいるくらい？』
「やっぱ幽霊同士は見えるんか？」
『波長が合うものなら、ね』
興味深そうに頷くトントン。
その時、廊下の奥から足音が聞こえてきた。
『部屋入って！』
近場の教室に入る。
足音は止まることを知らないように教室の前を通っていった。
「大丈夫か...？」
『見てみる、ちょっと待って』
ドアの隙間から顔を覗かせると、影へと消えていくコンタミの後ろ姿が見えた。
『ok、いいよ』
「分かった」
Aを先頭に歩く一同。
周りに回って、あっという間に本館まで着いてしまった。
「あ、反対側に大先生とゾム居る！」
ガラスを隔て反対の棟には確かに鬱とゾムがいた。
『先生はいないのね』
「まぁ...そりゃ、自習だけやし」
『やったことあるの？』
「外出たときに兄さんに引き留められて門限守られんかった。」
『あらら』
ロボロに兄がいることをはじめて知るA。
その"兄さん"がただのご近所さんだとは知らずにAは歩みを続けた。
「というか、幽霊って足あるもんなんやな」
トントンの目線の先にはAの足。
『まぁ...ものによるとは思うけどね
たまに憎悪の塊みたいなのとかもいるし』
「こわ」
Aは足を進めていたが、少し進んでから足を止める。
『...あれ、鬱たちの教室』
Aにつられたように三人の目線も先程眺めていた教室へと向けられていた。
「...人影が、ない？」
そこには電気だけで人影のない、寂しい教室があった。
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作者名：咲々姫 | 作成日時：2021年2月2日 16時
