はじまりは潤 21 ページ25
翔が潤を寝かしつけに行ったあと、
「和？ちょっとこっちおいで。
パパ大事なお話したいんだ」
ゲームをしてる和を呼び寄せた。
だけど、
「なーに？パパー」
ゲームから目を離さず、棒読みで返事をする。
「潤の病気のこと。和も知りたいでしょ？」
注意欠陥障害も併せ持つ和は、興味のないことには、全く反応しないし、聞いているようでも年齢相応の理解ができない。
だからまず、興味を持って聞けるようなワード、『潤の病気』って強調して伝えた。
僕の思惑通り、ゲームを放り出し駆け寄ってきた和は、
「潤くんの病気のこと？
もうたーいんしたからだいじょぶなんでしょ？」
って。
まだ血糖値を測ったり、インスリンを注射したりしているところを見ていない和は、病気が治ったって思ってたみたい。
「すごーくしんどいのは治った。だからお家に帰ってこれたの。
だけどこれからは、病気が悪くならないように、色々していかなくちゃダメなんだ」
視線を合わせて話をすることが苦手な和は、僕の膝の上で、指先を弄りながらじっと聞き入っている。
「それでね？和にも知っててもらいたいことがあるんだ。
大事なお話だし、少し難しいお話だけど頑張って聞ける？」
「きける。潤くんの病気の話して？」
って、振り向いてきっぱり言った。
しっかり聞く準備ができた和を確認した僕は、ゆっくり話して聞かせた。
途中「注射するの？」「毎日？」「治らない…」って、重要ワードを復唱するように呟く和を見て、僕の心まで苦しくなった。
それでもしっかり話して最後に、
「潤を応援してあげられるかな？和は…」
って、聞いてみた。
酷な質問かなとは思ったけど、どうしても確認しておきたかったんだ。
長い沈黙のあと…
「するよ？おーえん！
しんどいこと、イヤなことする時は、１人よりみんなでするほうが頑張れるってまーにぃ言ってたもん！」
僕はすぐには、何も言えなかった。
沈黙の間、どこまで理解できただろう？とか、和にはまだ難しかったかな？とか考えてたんだけど、十分。
十分すぎるくらい。
そしたら僕が喋りだす前に、
「ありがとー和！潤、喜ぶよー！」
って、走ってきたゆかが和に抱きついた。
潤が病気になったことは辛いことだけど、辛いだけじゃなかったみたい。
この話で、その日の大人タイムは久しぶりに盛り上がって。
これからも大変なこともいっぱいあるだろうけど、みんなで乗り越えようねって、改めて確認しあったんだ。
fin.
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虹(プロフ) - ebi信号さん» こんばんはー！コメントありがとうございます(^O^)ワクワクしてもらえて、私も嬉しいです♪これからもよろしくお願いします(^o^ゞ (2019年4月12日 22時) (
レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
ebi信号(プロフ) - profile読んだだけで、泣きそうになってしまった。ワクワクとホッと安心感です。この世界を続けてくれて、残してくれてありがとう…。 (2019年4月12日 0時) (レス) id: 7ab42f2331 (このIDを非表示/違反報告)
琴子(プロフ) - 虹さん» ありがとうございます！こちらこそ(^-^)/ (2019年1月2日 16時) (レス) id: cc1132a1bd (このIDを非表示/違反報告)
虹(プロフ) - 琴子さん» 良かったぁ(^O^)これからもよろしくお願いします(^o^ゞ (2019年1月2日 13時) (レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
琴子(プロフ) - 虹さん» さっそくにありがとうございました！見れました＼(^o^)／ (2019年1月2日 13時) (レス) id: cc1132a1bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：虹
| 作成日時：2018年12月24日 18時
