はじまりは潤 19 ページ23
翔サイド
どれくらいそうしてただろ…
潤の呼吸が泣いているときのそれとは違うものになって、モゾモゾと膝の上で動き出したことでハッと我に返った。
そして、思った…
何にも難しいことじゃないって。
俺はこの子の主治医じゃない。
仕事をしてるんじゃないんだって。
「注射嫌だよな？
でも潤が元気でいるためには必要なことなんだよ？
今は難しいことは分からなくてもいい。
痛くて泣きたくなったら、いーっぱい泣けばいい。
いつでもパパたちが側にいるから。
ヤだヤだ言ってもいいよ？
絶対に怒ったりしない。約束する。
だからパパたちと一緒にがんばろ？」
親として潤の辛い気持ちに寄り添ってあげれば良いんだ、って思ったんだ。
そしたら智にぃもいつものようにふにゃっと笑って、
「そうだぞー潤。
その注射だけ毎日頑張れたら、今までとなーんも変わらないから。
早くお家に帰って和と遊ぼうな？」
って、ベッド脇にしゃがんで潤の顔を覗き込んで言った。
雅紀は寝癖のついた髪を鋤くように優しく撫でてやって、
「だいじょーぶ、だいじょーぶ。がんばれるよ、潤は」
そう小さな声で何度も、繰り返して言ってくれた。
そんな俺たちの言葉に潤は、何も言わなかったけど、拒否してる風でもなかった。
そのうち、だんだん体の力が抜けていき、俺の膝の上で眠りについた。
その重みを膝に感じながら俺たちは、これからのことをまた少しだけ話し合った。
病院勤務はしていないけど、俺たちはそれぞれ分担して、来年の開院に向けて忙しく動いていたから、きちんと役割分担しておかないと。
「翔にぃは潤が入院してる間は、側にいてあげて？
俺ができることは全部俺がやるから」
雅紀の意見に俺は頷くことしかできなかった。
院長になる予定の雅紀は、どの打ち合わせも欠かすことのできない存在だし、智にぃがやっている法人認可の手続きを、今から引き継ぐってのも難しくて。
なら俺が潤の側にいてやるってのが、最良なのかなって。
それにまだまだ不安定な病状が続くであろう潤の看病は、俺がやるのが１番だって。
「じゃ仕事のことは一旦2人に任せる。
その代わり俺はしっかり潤のこと看てるから、安心して？」
これから暫く続く入院生活と、今後永遠に続く自己注射。
どちらも大変だとは思うけど、潤が背負うことになったものに比べれば、全く苦にならない程度のこと。
とにかく今を何とか乗り切ろう、ってことで話はまとまった。
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虹(プロフ) - ebi信号さん» こんばんはー！コメントありがとうございます(^O^)ワクワクしてもらえて、私も嬉しいです♪これからもよろしくお願いします(^o^ゞ (2019年4月12日 22時) (
レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
ebi信号(プロフ) - profile読んだだけで、泣きそうになってしまった。ワクワクとホッと安心感です。この世界を続けてくれて、残してくれてありがとう…。 (2019年4月12日 0時) (レス) id: 7ab42f2331 (このIDを非表示/違反報告)
琴子(プロフ) - 虹さん» ありがとうございます！こちらこそ(^-^)/ (2019年1月2日 16時) (レス) id: cc1132a1bd (このIDを非表示/違反報告)
虹(プロフ) - 琴子さん» 良かったぁ(^O^)これからもよろしくお願いします(^o^ゞ (2019年1月2日 13時) (レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
琴子(プロフ) - 虹さん» さっそくにありがとうございました！見れました＼(^o^)／ (2019年1月2日 13時) (レス) id: cc1132a1bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：虹
| 作成日時：2018年12月24日 18時
