はじまりは潤 9 ページ13
翔サイド
初療室のベッドに移されて、センターの医師たちにされるがままになっている潤を目に写しているだけの俺…
不意に初めて潤を診た頃の事を思い出した。
必死になって、事切れそうになっている命を繋ぎ止め、もう2度とこんな辛い想いをさせないと誓ったあの頃のことを…
なのに、近くにいながらこんなに酷い状態になるまで気付いてやれなかった。
無力感に苛まれ、自分自身に対する怒りで体が震え、痛い位に拳を握りしめていた。
「翔にぃ、潤、頑張ってるよ？
ほら、手握ってあげて…」
俺の肘を軽く掴んで、腕を潤の方に向けて言う雅紀は、柔らかな笑みを浮かべていて。
何かを感じ取って、俺の負の感情を紛らわしてくれる。
「ん。
そうだな、今更後悔しても始まんねぇよな。
でも…ごめん。小児科医のクセして何にも気づかなくて、お前にまで心配させて…」
思いのままを口にすると、
「何言ってんの、翔にぃ。
怒るよ？俺。
誰のせいでもないでしょ？病気なんだから。
そんなの翔にぃが一番分かってるクセに。そうやって全ての責任を独りで背負うのは止めて？
潤はみんなの子どもだよね？
だったらみんなでこれからのこと考えよ。
俺も�儀薪�尿病って聞いた時は、頭真っ白になったけど、今は良いインスリンもできてるって聞くし。
コントロールさえきちんとしてれば、普通に暮らせる。
それにこんなに優秀な小児科医が家にいるんだし、潤はラッキーだよ、ね？」
俺は潤の手を握ってやりながら、上から降ってくる雅紀の優しい声に、ただただ頷くしかなかった。
翌日、センターを出て病棟に上げられた潤は、ナースステーションに隣接する観察室のベッドで目を覚ました。
「ヤーだ！ヤぁあ！
はなしてー！おうちぃ、おうち、かえるー！」
そして今、手が付けられない状態になっている。
久しぶりに見る全身を使って駄々を捏ねる潤。
だけどその混乱も頷ける。
だってそうだろ？
突然体調が悪くなって、それだけでも十分辛いのに、入院させられた上、管まみれにされて自由を奪われたんだから。
「潤、潤？
分かったから、潤がお家に帰りたいのパパよーく分かったから。
だけどね、潤。体がしんどいって。ポンポン痛かったろ、昨日？
だからね、准一先生に治してもらおう？」
俺の声が耳に届いたのか、泣くのを止めて聞いていた潤は、言葉が途切れた途端、俺目掛けて飛び付いてきた。
「パーパー！」
しがみついて泣く潤を抱き締め、そっと頭を撫でてやった。
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虹(プロフ) - ebi信号さん» こんばんはー！コメントありがとうございます(^O^)ワクワクしてもらえて、私も嬉しいです♪これからもよろしくお願いします(^o^ゞ (2019年4月12日 22時) (
レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
ebi信号(プロフ) - profile読んだだけで、泣きそうになってしまった。ワクワクとホッと安心感です。この世界を続けてくれて、残してくれてありがとう…。 (2019年4月12日 0時) (レス) id: 7ab42f2331 (このIDを非表示/違反報告)
琴子(プロフ) - 虹さん» ありがとうございます！こちらこそ(^-^)/ (2019年1月2日 16時) (レス) id: cc1132a1bd (このIDを非表示/違反報告)
虹(プロフ) - 琴子さん» 良かったぁ(^O^)これからもよろしくお願いします(^o^ゞ (2019年1月2日 13時) (レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
琴子(プロフ) - 虹さん» さっそくにありがとうございました！見れました＼(^o^)／ (2019年1月2日 13時) (レス) id: cc1132a1bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：虹
| 作成日時：2018年12月24日 18時
