はじまりは潤 8 ページ12
車に乗り込むとシートの上には毛布が敷き詰められていて、運転席で雅紀が待機していた。
「智にぃ、S字フック掛けてあるから点滴はそこに掛けてね。
準備できたらいつでも出発できるから言ってよ」
雅紀の言葉に『おう』って答えた翔は、寝かせた潤の顔の下にタオルを敷いてやっている。
「潤、病院行ってお腹痛いの治してもらおうな？」
翔がそう声を掛けると小さくコクコク頷いた潤。
頭を一撫でした翔は、
「もう1回脈だけ確認して行こう…」
って、腕時計に視線を落とす翔。
数十秒の沈黙の後、
「大丈夫。
雅紀、良いよ車出して…」
翔の声を合図に静かに車が走り出した。
車の中からもう一度病院に連絡を入れておいたからか、玄関に待機していてくれた岡田。
車のドアが開くとすぐに外から潤を受け取って、小児用の黄色い柵が付いたストレッチャーに寝かせてくれた。
「櫻井、状況教えて？」
「はい。
数日前より多飲、多尿が出現。今日の夕方から倦怠感が顕著になったと思われます。
30分程前から腹痛を訴え、嘔吐1回しました。アセトン臭がプラスで…」
早足で歩きながら、病状の確認をする2人。
それを追うようにして、雅紀と僕が続く。
運ばれたのは小児科ではなく高度救命救急センター。
僕たちが退職した翌月、3次救急指定病院となり発足した。
以前の救急外来とは比べ物にならないくらいの広さと最新の設備。
こんなに早くここのお世話になるとは思ってもいなかった。
入室するなり、たくさんのスタッフが潤を取り囲み、
「モニターつないで」
「採血して。血算、生化、血ガスもー」
「ルートもう1本採って！
時間500でじゃんじゃん補液して」
「バルンカテーテル入れまーす！」
いろんな声が飛び交う。
あっという間にたくさんの管を付けられた潤。
僕があまりの衝撃に立ち尽くしていると、そっと近づいてきた岡田が、
「脱水で電解質のバランスも崩れてるから、モニターしながら輸液を一気に入れてるとこ。
で、血液検査の結果見てインスリンも持続で入れてく。バルーン入れたのはおしっこの量も厳密に管理して輸液とのバランス確認しないといけないから…
辛いと思うけど、分かるよな？」
今の僕が医者としではなく、ひとりの父親としてここにいるんだと分かってくれている岡田先生は、簡潔に今の状況を伝えて肩をポンっと叩いてくれた。
「ありがと」
やっとそれだけを言って、僕はセンターを出て家族控え室のソファに腰を下ろした。
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虹(プロフ) - ebi信号さん» こんばんはー！コメントありがとうございます(^O^)ワクワクしてもらえて、私も嬉しいです♪これからもよろしくお願いします(^o^ゞ (2019年4月12日 22時) (
レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
ebi信号(プロフ) - profile読んだだけで、泣きそうになってしまった。ワクワクとホッと安心感です。この世界を続けてくれて、残してくれてありがとう…。 (2019年4月12日 0時) (レス) id: 7ab42f2331 (このIDを非表示/違反報告)
琴子(プロフ) - 虹さん» ありがとうございます！こちらこそ(^-^)/ (2019年1月2日 16時) (レス) id: cc1132a1bd (このIDを非表示/違反報告)
虹(プロフ) - 琴子さん» 良かったぁ(^O^)これからもよろしくお願いします(^o^ゞ (2019年1月2日 13時) (レス) id: d02e7023d3 (このIDを非表示/違反報告)
琴子(プロフ) - 虹さん» さっそくにありがとうございました！見れました＼(^o^)／ (2019年1月2日 13時) (レス) id: cc1132a1bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：虹
| 作成日時：2018年12月24日 18時
