20 補習 ページ22
「あの！先生！む、無理です！！」
「あァ？何が無理だとォ？いいから準備室行くぞ。」
「もうやるんですか？！」
「テメェ話聞いてたかァ？夏休みまでやるって言っただろ、今日からだァ。行くぞ。」
選択の余地もない。しかも今日からなんて。
「あの、しのぶと帰る約束してて待っててもらってて…」
「胡蝶は今日部活だろォ。」
「…」
秒で嘘がバレた。さすがに今すぐ2人きりの補習は耐えられないと思って逃げようと思ったけど失敗だった。
「今俺を騙して帰ろうとしたなァ？いい度胸じゃねえか覚悟しとけェ。」
「すみません！！こ、怖いですその顔！お許し下さい！！」
不死川先生は無言で職員室を出て数学科準備室へ向かった。
私は慌てて廊下に置いていたカバンを持ち、急いで先生の後を追った。
「生徒思い、それかド派手に黒城思いか？A組の副担任は。どっちだろうなあ悲鳴嶼先生？」
「嗚呼、どちらだろうな。」
･
･
･
急遽数学の補習が始まった。一対一で。
渡されたプリントを解いているのだけど、先生は傍で腕を組んでガン見してくる。助けて欲しい。心臓が無理だ。
「えっと…。」
ヤバい、今解いてる問題昨日の授業でやったはずなのに解けない。
手が止まってしまう。
考えても考えても解き方が思い出せない。
「その問題分かんねえのか？どこでつまずいてんだァ？」
「…ッ」
不死川先生が隣の椅子に座って、私の手元を覗き込んできた。
体の距離が少し近くなった。
それだけでドキッとする。
「こ、ここからどうすればいいか分かりません…」
「そこは１回文字に置き換えて計算しろ。昨日言ったぞォ。」
「え？置き換えても計算できなくないですか？」
「ハア？お前ホント話聞いてねえな？だからなあ、」
「(わ〜ちょっと待って…)」
さらに不死川先生が距離を縮めてきて、赤ペンで問題の脇に解説を書き始めた。
「これはこの公式が使えるだろ、だから文字にして…こうなっから…」
サラサラと赤い文字が綴られるけれど、緊張しすぎて読めない。
先生の服の爽やかな柔軟剤の匂い。
鬼はいないのに傷だらけで逞しい腕。
真横には先生の顔。
た、耐えられない…
顔が熱い…
すると、先生は手を止めた。
「何顔赤くしてんだァ？」
ニヤニヤと私の顔を見て笑う。
先生の意地悪な顔が、より私の顔を熱くさせた。
「は〜〜〜」
机に肘を置き、両手で顔を覆う。
無理だ。
これから1週間ずっとこれは。
無理だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 277人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さらりとクマ(プロフ) - nさん» ええええええ？！天才…？！ぷろ…？！全くもってくそくそど素人ですが、そのようにお褒め頂けてハッピーです…！続編の更新の方もう暫しお待ちくださいませ…！コメントありがとうございます！！！ (2021年10月23日 12時) (
レス) id: 2dfbebf58e (このIDを非表示/違反報告)
n - この小説書かれた方、、天才ですか❓話の構成や、ラブシーンも上手すぎます。。。プロの作家が書いてるのかな。と、疑ってしまいます。 (2021年10月20日 23時) (レス) id: 2858fa56d6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆみ - 私は風柱様ひとつじだどね粉雪ちやんも風柱様にほれたんじやないかなここにきて (2021年10月2日 10時) (レス) id: 3ad59a45e6 (このIDを非表示/違反報告)
さらりとクマ(プロフ) - 粉雪さん» あっらー！粉雪様！いつもお読み頂き誠に有難うございます！！いいではありませんか推し変！！でも煉獄さんもかっけーですよねぇ…完結までには不死川さん推しになってるように推し変パワー込めてお話書きますね！？頑張りますーー！！ (2021年9月5日 22時) (レス) id: 2dfbebf58e (このIDを非表示/違反報告)
粉雪 - 前世のお話から読んでます！いつも楽しませて頂いております。私は煉獄さん押しなのですが、この作品を読むたびに不死川さん押しに転換しようかと思ってしまいます…！これからも楽しみです！応援しております！ (2021年9月5日 14時) (レス) id: 33866b80ff (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さらりとクマ | 作成日時：2021年7月18日 21時
