俺は ページ19
俺は目覚めの悪い朝を迎えた。
起きて早々、鼻が痛い。
なぜ鼻が痛いかを考えた時、昨日の会議のことを思い出して嫌気が刺す。
ふざけんなァ。
何が人を喰わない鬼だ。そんなもんいたら…
…考えるのも嫌になる。
朝からひたすら木刀を振り、鍛錬に集中することにした。
「ごめんください。」と、愛おしい声を聞くまで、もう昼を過ぎていたことに気が付かなかった。
だが、何の用できた。
生憎、今の俺はいい顔をしてお前と会えない。
昨日のことでも話をしに来たのかァ。
とりあえず黒城を屋敷に上げ、縁側に座らせ茶を出した。
俺も隣に座ると、黒城があの…と徐に口を開いた。
「さっき、お屋敷の前に、男の隊士の方がいらしてたんですけど、
不死川さんに用なのかと思って聞いてみたら、何でもないと言われ去ってしまいました。不死川さんお心当たりありますか?」
あぁ、俺はそいつをよく知っている。
そいつが最近いつも俺の屋敷の周りをうろちょろしているのも。
だが、
「知らねェ。」
と嘘をついた。
黒城はそうですか、と不思議そうな顔をして言った。
「何の用で来たんだァ。」
「あ、はい。昨日のことなのですが…」
やっぱり昨日の事か、黒城がいるのに苛立ちが隠せねェ。顔に出ていると思う。
「嫌な気持ちにさせたらすみません。
でも、不死川さんのこと知りたくて今日は来ました。
なぜ不死川さんが鬼の女の子のことを認めたくなかったのか。あそこまでしたことにきっと理由があると思いました。
それから、最近不死川さんが暗いと感じたので、何かあったら私でよければお話を聞きたいと思ったんです。」
多分こいつは勘づいてる。
昨日の行動が俺の過去と関係してること。
だが、これは俺一人が背負っていかなければならないこと。
周りに同情してもらおうと思わねェ。
「不死川さん、私に言いましたよね。
1人で抱え込まず、周りを頼れと。我慢しすぎだって。」
あぁ。我ながら説得力に欠けると思っていた言葉だ。
なのに、お前は覚えていたんだな。
お前なら…話してもいいかもしれない。
お前に知って欲しいと思う自分がいる。
「すみません、こんなことを言って。
生意気でしたよね。この話は忘れて下さい。」
いいや、話させてもらおう。
「俺は、母親を殺した。」
目を見張る黒城に俺は、俺の過去を淡々と話していった。
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ゆみ - わたしもさねみさんもくまさんも凪子さんのこと見守てるから (2022年4月25日 23時) (レス) id: 3ad59a45e6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆみ - 泣いてくれてありがとう凪子さんわたしもだいすきなさねみさんとここで恋仲になれてうれしいもん (2022年4月25日 23時) (レス) @page47 id: 3ad59a45e6 (このIDを非表示/違反報告)
さらりとクマ(プロフ) - 凪子さん» え?!あ?!泣かれましたか?!お目目腫れてませんか!?ちなみに作者は見聞録の弐を読んで泣いてしまいました同じですね!(?)明日会う人に心配にされないようしっかり目元のケアをなさって下さい!!!お読み頂きありがとうございます! (2021年2月4日 23時) (レス) id: 2dfbebf58e (このIDを非表示/違反報告)
凪子(プロフ) - 泣いてしまった!!実弥さんの愛の深さがたまりません! (2021年2月4日 20時) (レス) id: 33c3d87eb8 (このIDを非表示/違反報告)
さらりとクマ(プロフ) - tauorgemさん» コメントありが…えええ?!お泣きになられた?!確かに、思いのすれ違いについては頑張って書いた記憶があり、それで心を揺らして頂いたなんてとても嬉し…いや!目を腫れさせてしまってはだめですね?!どうかおめめをしっかり冷して下さいませ!! (2021年1月18日 23時) (レス) id: 2dfbebf58e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さらりとクマ | 作成日時:2020年10月3日 8時