本気.29［マギ］ (ページ42)

今日:8 hit、昨日:21 hit、合計:11,665 hit

第261夜死闘の果てにページ42

アラジンも白龍もボロボロで、少しの怪我をしたAは顔を上げることなくアリババに倒れ込むようにして抱きしめていた。

「決着を、」

アラジンが顔を上げる。

「………………つけますか。殴り合いでもしますか…」

アラジンはAに視線を落とすと、フルフルと力なく首を振ったので、

「いや……やめよう。」

と白龍に言った。
白龍は何も言わなかった。

長い長い沈黙が流れた。

「……あいつは、本当にもう戻ってこないんですかね。」

「…………ジュダルくん？」

「そう。」

「……戻らないよ…」

「あなたが死んでも？」

「そう。」

「…あいつが死んでも？」

「そう…」

「随分残酷な魔法を使ったものですね。」

「僕もそう思うけど、もうあれしかなかったんだよ。ジュダルくんには「転送魔法陣」があるけど、転送できる距離には限界がある。今頃はもう……」

「……アリババを、どこへやってしまったの？」

すく、と身体を起こして、Aが聞いた。

お互い背を向きあったままだった。

「さあ…俺には分かりませんよ。あなたにもわからないのならば、他の誰にもわからないのでしょうね……」

Aは俯いた。

アラジンは、小さなふわふわとした手でAの手を握った。
力なく握り返された。

「…………おねいさん、」

「…………」

俯いたまま、隣のアラジンを下から覗き込むようにして見つめるA。
長い髪が鬱陶しいほど垂れていて、その隙間から辛うじて表情が見え隠れしていたが、
目も鼻も真っ赤にして、けれど涙の枯れた無表情だった。

「……自分を、責めないでおくれ。」

ぎゅっと手を握っても、次は握り返してくれなかった。

「……あいつは最後まであなたを救おうと戦いましたよ。」

それでもお前は最後まで目覚めなかった。自分を命をかけて救おうとする男の必死さをその目で見ていたくせに。

そう言われているようで、Aは片腕で頭を抱えた。

「白龍おにいさん……」

もうやめてよ、と続く言葉も、言う気力がなかった。

「いいよ。」

割座で座り込み背中を丸めて俯いたままAはそう小さく言った。

「全部、わかってるよ。」

私が悪いんだって。

アラジンが口を開いた時、Aはそれを言わせないように

「白龍のその脚、大丈夫なの？」

と聞いた。

「…………」

白龍は黙ってガツンと槍を地面に刺すと、

ギュルルとザガンの植物で足を作り立ち上がった。