本気.29［マギ］ (ページ30)

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(ウーゴくん、今なら君がなぜ僕を単なる使者ではなく、一人の人間としてこの世界に送り出し、いくつもの大切な出会いと別れを経験させてくれたのかわかる気がするんだ。)

「誰かの命令じゃがんばれっこないから……きみは、僕に”選ばせてくれた”んだね……」

＿

「惚れ込んだんだ。命令じゃないよ。」

「あぁ!!?」

「”僕が”みんなを、大好きだからさ!!」

(……!!)

ジュダル、そしてAは目を見開いた。
「『重力反作衝(ゾルフ・サバーハ)』!!!」

クンッ

アラジンが手を曲げれば、空間が歪み雲から伸びるようにして襲いかかってきていた竜巻はジュダルの方に跳ね返されるように曲がった。

その魔法を見て、ドクドクと鼓動が早くなった。

どこかで見たことがある。”自分のこの目”で!!!

”過去”が、私に呼びかけている……！

『さすがだね、ソロモン。選ばれし者なのかな。貴方って。』

『そういうのは嫌いだって知ってんだろ？でもお前にだって”視える”はずだぜ。その目を持ってんならな。ベクトルの世界が。』

『そうだよ、実際、私の転送魔法は物質を強制的に他の空間に移すものだからね。転送移動魔法とは違って…』

『……もっとその力を磨こうとは思わねえのか？俺と同じように。』

『辛いもの。もうこれ以上、余計なものは見たくないから…』

(そうだ。私の視る過去は嘘をつかない。

そうだよ、ずっと一緒にやってきたんじゃない……！

でもわからない！あの過去が嘘だって、まだ信じられない…！

でも、でも彼は……ずっと、2人で…)

『私たちずっと同じよね、ソロモン。』

『僕は、おねいさんのことを同じだと思ってるよ。』

嫌われていようが、彼と共にすごした過去はぼんやりと偽装の記憶に押しつぶされながらも頭の中に残っていた。

Aはギラリと紅い目を輝かせると数秒先の”未来”を目にし、杖を握りしめた。