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「玉艶は自分の体の中のルフを暴発させやがったんだよ。おかげで死体もろとも玉艶のルフはパァ。惜しいことしたぜ、色々情報を聞こうと思ってたのによ。まぁ、そうさせねーための自爆だろうがよ…」
「…………玉艶は…本当に死んだのだろうか？」
「ああ。あいつ人形にならなかったからな。つまり、正真正銘の生身の人間だったってことだ。俺たちついに殺ってやったよなッ!!!ハハハ！！」
「……………」
「…どうした？白龍、元気ねーな。玉艶が生きてた方が、おまえにはよかったかな。」
「……………いや………」
「殿下は…あれ以来おひとりで考え込んでおられる。」
「やはり仮にも母親殺しだ。つらいのだろうか？」
フッ
(わかっちゃいねーな、おっさん達は…あいつのアレはそんなんじゃねーよ、玉艶が死んで、一時的にぬけがらになってるだけだ。でも、おまえは絶対戻ってくるよ。俺にはわかるんだ。そうだろ？白龍……)
それから白龍はたくさんの人たちを従えた。いいや、今まで自分に媚びへつらうことなどなかった大人共が、みっともなくも椅子に座る自分に頭を下げ拍手をして笑っている。その気持ちの悪い嘘の仮面で。
白龍は夜、ベッドの上で思い出した。
自分が産まれてからの過去を、1度全て頭の中で映した。
＿
「練紅炎を討つ。」
「…………なんで？」
「世界のためだ。俺は、紅炎や紅明が作ろうとしている世界が間違っていると思う。彼らは、占領国の文化を奪い、歴史を奪い、人々から「怒り」を取り上げることで「世界をひとつに」しようとしている。
それは、人間から尊厳を取り上げる間違った行為だ。
俺やおまえのように、世界のためならばと、己のどうしようもない嘆きや怒りを、押し殺せと、世界中の人々に強いる世界を、紅炎たちは作ろうとしている…」
「…………だから？」
「だから、俺はこの世界を正しく導くために……
紅炎を殺す！
そして俺が煌帝国の…世界の王になる。」
ニッ
「それと同時に、A殿を手に入れる。」
「……おー、やっとか？」
「2人で世界を作り直す。だがそのためには紅炎を殺して、俺が皇帝になってからでも構わない。急ぐ必要は無い、出会った時に、無理やりにでも引き入れる。
ただ、その場合彼女の「マギ」はおまえになってほしい。」
「お？いや、それは俺もそうしたいけどよォ、あいつ「堕転」してねえから、あいつからのルフの加護も貰えねえんだよ。」
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作者名：氷空音 | 作成日時：2022年5月5日 23時
