第247夜 帝都決戦 ページ39
ウオオオ
「なんだこいつ、つ、強いっっ!?」
「オラオラ、てめえらの王のお通りだ!?」
「お、王!!?」
「白龍皇子が反乱を……!?」
「さっきの光景は真実なのか!?」
「今はそんな場合じゃない！」
「あ"ぐっ」
白龍はいましめの輪の激痛に再度襲われ、頭を抑えた。
動けていることが不思議なくらいだ。
「！？」
ドン
「ここは、」「お通しできませぬ！」
ジュダルと白龍の前に現れたのは二人の男。
「どけっ！国の仇も見極められぬ老いぼれが!!」
白龍は彼らを強く睨んだが…
「「知っています。」」
「！？」
「気づいております。この国の元凶も…我らが永遠の主を殺したのが誰かも…
しかし、我々はあくまで煌帝国の臣下なのです。白徳様の築かれたこの国を真っ二つに割ることだけは、なんとしても避けねばならぬのです！」
だが白龍の目は、怒りと憎しみ、恨みで満ち溢れた刃物のように鋭いものになっており、二人の額にたらりと汗が滲んだ。
そして白龍とジュダルは、動けぬ2人の横を通り過ぎた。
「説得力ないぜ、おっさんたち。」
ググッ
ドクンッ
ドクンッ
ドクンッ
「練玉艶、貴様を殺すッ!!!」
玉艶は人間のように見えぬ歪んだ笑みを浮かべた。
だが直ぐに、いつもの小さな笑みに戻る。
「白龍…そんな体でよくここまで来たわね。そんなに私を殺したかったのね。」
白龍は痛みで息も切れて、膝に手をやり玉艶を見上げていた。
「でも、この戦力差をどうするつもりかしら。」
彼女の周りには、アル・サーメンの分身体が何十人も並んでいる。
「さようなら。」
スッと彼女が手を挙げた時、ジュダルはそれと反してニッと歯を見せ笑った。
「！？」
ズドド！！
その瞬間、周りの分身体からいっせいに攻撃を食らう。
「ババァ！そいつらとっくにてめぇの手下じゃねーんだよ！」
ジュダルは中指を立てた。ギロッと分身体たちは目を剥き怒りを顕にした。
「練玉艶コロス…！組織に仇なす裏切りモノ…！」
「「分身体」が…ルフを共有していたのが仇になったな…
逃がした2体の「分身体」にあらかじめ「ベリアル」の魔法をかけておいた。奴らのルフが「ベリアル」の精神魔法に汚染されているとも知らずに、世界中の「分身体」どもにばら撒いてしまったのだろう？
「分身体」は人間よりずっと単純な体、思念で動く”でく人形”。記憶を書き換えるのはずっと簡単だった。」
「人形劇を逆手に取られたな。オ・バ・サ・ン！」
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作者名：氷空音 | 作成日時：2022年5月5日 23時
