答え.28［マギ］ (ページ14)

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船の中、Aは必要な物資を確認していると、突然後ろからガバッと抱きしめられた。

ふわりと香るよく知る花のいい匂いと、サラサラとかかる長い髪ですぐに誰だかわかった。

「てぃ、てぃてぃてぃ、ティトス！！！」

Aは腰を折っていたので余計に保てず前によろけた体制を保つように膝に手をやりながら、顔を一瞬で真っ赤にしながら彼の名を呼んだ。

あははと後ろから彼の声が聞こえてくる。耳元なので正直うるさい。

どんなに異性と行動を共にすることが多くても、激しいボディータッチなどはまだ慣れないもので、彼を引き剥がすことも出来ぬままAは口をぎゅむりと閉じて彼がどくのを待つことしか出来なかった。

「一瞬でボクだってわかったね？もしかしてボクのことがいつも頭のどこかにあったりしてっ」

肩に顎を乗せて顔の真隣で、それも小声で言ってくるので、それでも尚抵抗できなかった恋愛にウブな彼女は、顔を両手で覆って耐えることしか出来なかった。

ティトスは彼女の耳が真っ赤なのをみて上機嫌になり、ウフフと彼女を強く抱き締めたまま体を前にピョンピョンと跳ねながら倒して遊んできたので、我慢できなかったAはついつい肘で彼を引き剥がしてしまった。

「ヴッ！！」

い、今ドスって音鳴ったけど！！と肘で押された鳩尾当たりを抑えAを涙目で中腰で見るティトスに、彼女は彼と向き合いながらもフンと頬を膨らませながら腰に両手を置いて彼を睨んだ。

ティトスはAが大好きだった。恋心を自覚してからというもの、好き好きアピールが凄まじかった。手紙はしょっちゅう届く。(別にマグノシュタット事件から年月はそこまで空いてないろうに。)

［A！元気してるかい？今日はね！マルガと＿。その後ムーが＿。Aとまた早く会いたいな！あと好きな人が出来たら直ぐに教えるんだぞ！ボクが見極めるんだから！］

こうやって見ると好きな人が出来たら引き止めないのがなかなかに爽やかなヤツであるが、色んなとこを移動するAになんとしてでも手紙を届けたい熱が、わざわざ魔法を使って送ってくることから伝わってくる。

だが彼のおかげで、Aは「恋」ということを考えるようになった。元々白龍もいた訳だが、あれは正直論外ということにしておこう。なぜならアレは恋ではない。「愛」である。それも、多分、純愛とは程遠い。

真面目な彼女は、ティトスからの気持ちにも真面目に対応しようとしていた。