第241夜 それぞれの覚悟 ページ12
「皇帝陛下が謀殺され、崩壊した守備兵団が敗走、バルバッドへ向かっております。」
「アリババ！おまえもすぐにバルバッドへ来いッッ！」
「行っちゃったね、煌帝国の人たち。」
「仕方なかろう。」シンは両手を軽く広げながら言う。
「「会談」は中途半端になっちゃったけど、これからどうしよう？」
「「金属器使い」同士に共通認識が持てたことは良かったんじゃないか。「イル・イラー」の降臨阻止というな。」
「僕は、もう少しこの話し合いが長く続いて欲しかったな。」
「ユナンおにいさん……？」
「僕はずっと見たかったんだ。「金属器使い」同士が己の存在意義について討論するところをね。「マギ」を繰り返していて、むなしかった。どんな国も滅びてしまう。ならば「王の器」とは何者か。
でも「ウーゴ」くんは、王と国というその存在意義自体を僕たちの手で見出し、守っていけと託していたんだね、全くきびしいね、アラジン。君の父親と友人は！」
「ユナンおにいさん…」
「シンドバッドは、これからどうするの？」
「練紅炎とバルバッドに協力するさ。もはや、状況は一変したからな。
どうやら練紅炎と「アル・サーメン」は完全に敵対するようだ。これから煌帝国は真っ二つに割れ、内戦となるだろうが……
反乱を起こしたという白龍皇子の独力で、あの「アル・サーメン」が完全に消滅させられたとは俺にはまったく思えない。まだ残っていると考える。実際、ジュダルは白龍皇子に加勢している。
「アルバ」を殺して「アル・サーメン」の力を取り込んだのか…？ジュダルのあのすさまじい力の出どころも気になる。」
「…………」
「おいオルバ。」
「ああ…あの、アラジンさん。その煌帝国で反乱を起こしたっていう「練白龍」っていうのは……
「
モルジアナとアラジンはハッ！とした。彼らは目を見開き、呆然とこちらを見ていた。
＿
「シンドバッドさん。俺は、練紅炎の部下になります。」
「！？どういうことよアリババ!!!!」
ずっと黙っていたAが誰よりも早く反応して声を荒らげた。
「シンドリアと手を切って、バルバッドの家督を捨て連家の籍に入り、練紅炎の下で「金属器」で戦えと条件を出されたんです。」
「アリババ、そのことで悩んでいたのか！」
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作者名：氷空音 | 作成日時：2022年5月5日 23時
