第232夜 ソロモンの世界 ページ14
コォオ
「お会いしとうございました 我らが父よ…!!ダビデのせいでなんと おいたわしいお姿に……!!」
「………！？」
「そ、そうだ ダビデが神から力を奪い続けたんだ。不遜な男だよね。」
「ダビデ……」
『おまえもやがて知ることになるだろう。”全て決まっていた”ということを…』
「こんな場所に連れてきて…俺に何を見せようと言うのだ」
「いや……いやあッ!!!」
突然グロリアが耳を抑えるようにして悲鳴をあげた。
ウーゴがなんだとそちらを見た時、スルスルと神から白い触手が伸びてきた。
それは彼らに触れた。
第3の目が開眼した。
ビィイイイイッ
異空間に来ていないファーランやイスナーンたちもソレは感じた。
シバは目を見開き、第3の目からも、ふたつの赤い目からも涙した。
その時、私たちは全てを理解した。神の『
すなわち……
『運命』を。
それは、予知ではなかった。
世界には、ただ純然たる「流れ」が存在していた。
すべてはひとつの結末へ向けて流れていくのだ。
偶然に見える喜び、怒り、悲しみ、生、死……
それらは「世界」と呼ばれる何かが前へ進むための構成要素だ。
神は、この世界を何かに進めるためたくさんの事象を起こしているのだ。
私たちが一生の中でどんなに崇高な何かを志しても…
または罪を犯し、
おかされ、
もがき、
苦しみ、
立ち上がり、
それらがすべて自分の意思”のように見えても”……
すべては神のために”決まっていた”こと。私たちは神の奴 隷……
「運命」の大きな流れから決して逃れられぬよう、定められた存在に過ぎぬということを…
私たちは理屈ではなく、体感的に知ってしまった。
すべての魔導士が真実を共有した。いや、させられた…ダビデという男が、ここでこうなるように仕向けたのだ。
だが一人の女だけは、第三の目が開眼しなかった。
なぜなら彼女は数年前から既に、この世界の神から魔力を受け取っていなかったからである。
彼女は日々生きていく中で、「仏」と化していた。
仏と化した彼女は、前の世界に未だ生きている他の仏から魔力を奪い取ることが可能であった。
だから彼女には、この世界の「神」との繋がりは既にない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 23人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：氷空音 | 作成日時：2022年5月3日 18時
