理想郷.25［マギ］ (ページ8)

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そういえば彼女は、ただソロモンと場所を変わっただけであって、攻撃的な言葉は何一つ言ってこなかったし、何も喧嘩したままの意味は無い。

シバはチラリと、アルバに持たされたダンベルを持った瞬間バコーン！と地面に落とし「あらら」と笑っているグロリアを見た。

「……あ、あー、あ、」

声をかけようとするが、なかなか難しいものだ。
グロリアはダンベルは諦めぐぐ、と腰を逸らしながら「ん？」と眩しい笑みでシバを見た。

「……貴方、本当に顔が凄いね。」

「え、ええ？」

出たのはこんなよく分からない言葉で、しかも伝わりにくいものだったので、グロリアはただ困惑し、「てめえ喧嘩売っとんか」とセイバーに怒られる羽目になってしまった。

＿「次の「神杖」を奪いに行くぞ！」

「おおっ！」

ソロモンが指示を出せば、魔導士たちは一斉に拳を突き上げた。

ズゴゴ

(岩山ごと動いてる…！)

「すごいだろ！俺が設計した魔法道具なんだ。イスナーンたちの雷魔法で動力を高めないと動かないんだけどね。」

ウーゴは驚くシバの背中に笑いかけた。

まったく、世話がやけるぜと別の部屋で魔法を使うイスナーン。

「でも本当にすごいのよ、ウーゴの発明は。」

グロリアがウーゴを手のひらで指しながらシバに言った。
ウーゴは照れたように、斜め下を見ながら後頭部をかいた。
あのねあのね、とウーゴの自慢をしだすグロリアに、ウーゴは顔を真っ赤にしながら「そ、そんな、褒められることじゃないよ」とモジモジして言った。
シバは「凄いだろって自慢してきたくせに」と思いながら、「グロリアってこの人は、タラシなんだな」と思った。天然の方の。

ズシンズシン

「「神杖」とは………イル・イラーから送られてくる魔力を大量に受信できる特別な杖なんだよ。」

「そんなの知ってる！「我らが父」を呼び捨てにするなバカめ！」

「全部で73本あるそれらを奪取するのが我々の目標だ。今は魔導士正教連の長老会が独占しており主に「愚々塔(グヌード)」の動力として使われている。」

「800年前にイル・イラーが「世界平和のため」に人間たちへ配ったのが、今じゃおいぼれどもの私利私欲のためのおもちゃアル。」

「人間以外から考える力を奪う魔法なんぞ…下衆な魔法を一体誰が考えたんじゃろうのぉ。」

「…………」
「………………」

「……？」

シバは、隣のただ黙っているアルバとソロモンとグロリアを見て、眉をひそめた。