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シバは酷く顔を歪めた。
「毛むくじゃらで…野蛮で臭くて…！！くやしい…杖さえ持ってれば、またあいつらの頭をバカにしてやれたのに…！」
「………………そうかしら。」
「そうよ！貴方だって、いかにもそういう気持ち悪いのは苦手そうな顔をしてるじゃない！！なのになんであんな、さ、触れるの！？」
「そんな汚らわしいみたいな言い方をしないでよ。悲しくなっちゃうわ。」
グロリアはそんなことを言いながらもちっとも悲しそうじゃなかった。
「そうかそうか。なあ、シバ…」
スッ、と手を差し伸べるグロリアに、シバは笑顔で「なあに？」と手をかけた。
グイッ。
引っ張られた瞬間、ドロリとグロリアの体が解けて、それはソロモンの姿になる。
「おまえはほんとにイヤな女だなぁ。
俺の目には、おまえの方が歪んだ汚ねぇばけものに見えるんだけど…
自分ではどう思う？」
(な………なんなの？なんなの？この人…！
っていうか、なんで！！さっきまで、女の人で……！変身魔法！？)
そこでシバはハッとする。
ソロモンから少し離れたソロモン後ろの方に、グロリアが普通に立ってこっちを見ているではないか。
「私は転送魔法が得意でね。」
そう言いながら近づいてくるグロリア。
シバはソロモンと彼女を交互に見た。
(あのグロリアって奴、助けてくれたと思ったけど、ぜんぜんまともじゃないじゃない！この男だって、とつぜんなんなの！！！)
「さあ、帰りましょうね。」
ハッとする頃にはもう、そこは建物の中だった。
＿
「なあグロリア。」
「なあにソロモン。」
「……おまえ…さ…」
「安心して。」
「…」
「大丈夫、言いたいことはわかるのよ。」
「……お前、最近さ」
「うん、でも平気なの。」
「……」
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作者名：氷空音 | 作成日時：2022年4月22日 19時
