理想郷.25［マギ］ (ページ4)

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「私、塔に帰る。」

「えっ、なんでだい？」

「神(イラー)から授かった神聖な務めを果たさないといけないから。」

アルバは少し眉を下げ、ウーゴやイスナーンもチラリとシバを見て、グロリアは細めていた目をうっすらと開けた。

「でもシバ、あの塔でむりやり魔法を使い続けさせられていたら、君は死んでしまうところだったんだよ？」

「むりやりなどではないわ、バカめ

私は命を賭して不浄を統制していたのだ！不浄なるものの王、ダエーフの手のものの侵略により善と邪悪が混ざりあってしまっているこの世界においてこれは使命！」

「不浄の統制ねぇ…でもそのご立派なお役目は、「塔」の上から人間以外のみんなをバカにする魔法を垂れ流すことだぜ、お嬢ちゃん。」

「ソロモン、言い方ってものがあるんじゃないかしら。」

「そうだ。やつらはこの世界の膿だ。

異種族どもは畏れ多くも我らが父イル・イラー様の使者たる神聖な我々魔導士を…かつては虐げ、頭からボリボリむさぼり喰っていたと『聖典』第二章4節から8節にしっかりと記されているではないか！」

「……………」

「ふっ、ふは、あははははははは！」

「！！グロリア！！」

君がそんな大きく笑うなんてものすごく珍しいじゃないか、と思いながらもアルバは止めた。
ソロモンはチラリとそんなグロリアを見て、またすぐ手元の本に視線を移した。

「あはは、面白いわ。うふふ、うふふふふ」

少し不気味にも上品に口元に手をやりながら笑うグロリアを見て、イスナーンは酒の入ったコップを口に当てながらもボーーッと見惚れてしまった。
それにすぐ気がついたウーゴはコツン、と頭を軽く小突いてやった。彼も少し見惚れていただろうに。

「ハハッ、イっちゃってるアルよ。口調も変わってるアル。」

「そう言うなよ。使命のため死ぬのは栄誉、そのお迎えが来るのを待つような教えだぜ。」

イスナーンがウーゴに小突かれハッと意識を取り戻しながら何事も無かったかのようにコップを片手に言った。

「残念じゃのう、わしらの目標は、その異種族たちを魔導士の支配から全員解放することじゃ。」

「！！！不浄だ！不浄だ！不浄だ！！神罰よくだれ。我らが父よ「この不浄の者(ダエーフ)」どもに死罰を与えたまえ！！」

シバは立ち上がり全員をブンブンと指さすと、その場所を飛び出ていった。