5 ページ29
え、嘘。と、シバは彼からでてきた名に目を丸くして、ソロモンが見た方を目で追った。
そこには背中で組んだ腕を壁につけるようにして2人の戦いを見守っていたグロリアが居た。
なんだか、不服そうな顔をしている。
いや、彼女だけじゃなく、セイバーも居た。
「グロリア、お前だって、女神なんて言われるの嫌だって一緒に散々話したじゃねえか。」
「……まあ、うん。」
その返事だけでシバは察した。グロリアはソロモンに心許しているのは本当のことなのだと。いつもと受け答えの仕方が違う。
「剣術の上達のために呼んだ2人(セイバーとグロリア)も居るから今のうち言っておくけどよ…
セイバーもアルバも、俺がいい気になって親父のように神様気取りにならないように、こいつが”人”であることを辞めて自分を殺してしまう前に、俺らがバカなガキの頃から知ってるおまえらにいてもらわないと困るんだ。
それぞれ、俺にはおまえ。グロリアにはセイバーがな。」
アルバとセイバーは曖昧な表情をした。
「セイバーだって、グロリアに直接そんな話をされたんだろ？だから最近、昔よりずっと友人らしくなった。アルバも昔のように、2人だけの時、敬語でなかった時のように話せ。
それに、グロリアもだ。アルバの次にであったのがおまえだし、もう人に気を使うのも辛いくらいなんだろ、俺らだけでいる時くらい、楽にしてろ。
”綺麗なままでいなくていいんだ”。」
アルバは地面に手を着いたまま、運動後だからかまた別の理由があるのか、頬を赤くしたまま俯き、チラリとグロリアのほうを見た。
彼女は眉を８の字に下げながらも顔を真っ赤にして唇をきゅっと結んでいた。
「…………はい、坊ちゃん…なんていうか、うん、君ってホント…」
アルバは少し辛そうな顔をするセイバーと、真っ赤なグロリアをみて、苦笑した。
「ウウン、なんでもない。」
「グロリアも、返事は？」
「……はい！」
いつもお淑やか、のようなイメージのあった彼女には珍しく、ぎゅっと背中で組んだ手を握りながらにぱっとひまやりのようなあかるい笑顔を浮かべた。
ソロモンは満足そうに微笑んだ。
「ふふ、じゃあ僕達から言わせてもらうけど、君の剣の型はなってないね、ソロモン！」
「あと身のこなし方もなってないね、ソロモン！」
「2人して…」
「君の背が低いせいじゃないかい？」
「あれ、でも低い方が細かい動きはしやすいのにね。」
「ふふふ、ただ単に下手なだけ？」
「はは、そうかも！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 38人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：氷空音 | 作成日時：2022年4月22日 19時
