理想郷.25［マギ］ (ページ22)

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「もう大丈夫だ。敵は送還した。そしておまえらに渡した「神杖」は3本がかりで動力に使えば、広大な「絶縁結界」を張れるんだ。この中で暮らせば魔法は効かねぇ。もう、操られずに済む。」

「ソロモン、3種族に言葉は通じないよ。」

「そうか。グロリア、伝えてもらってもいいか？」

「ええ。もちろん。」

ソロモンが話した言葉を、グロリアは杖を掲げながら全員に伝えた。
シバたちにはわからなかったが、特殊な音波により、異種族の彼らには脳内に直接語り掛けられているように伝わっているのだ。
アルバやウーゴも、それぞれ通訳ができるのだが、彼女がいる限りそれも面倒なので、ほとんどはグロリアが担当している。

(……ソロモン…さっき神父様たちに話したことを鱗狼(マンテイコア)たちにも話しているのね…鱗狼(マンテイコア)たちは話を聞いてくれるかしら……？)

『俺たちは…俺たちは、すべての土地を解放しすべての種族が肩を並べ対等に暮らせる「理想郷(アルマトラン)」を異種族たちと共に作っていくつもりだ。それこそが、バカなまねをし続けてきた俺たち魔導士の贖罪だ。』

『無理ですねぇ…そう言いきれる証拠があるのだから。なぜならば……

神は人間だけを選ばれたのだから！！それこそが、人間がほかとは違う証拠！！決して分かり合うことなどできない！！』

『分かり合うことと対等に暮らせることは＝ではないわ。理解し合えないこともあるかもしれない。喧嘩も何度も起こるかもしれない。けれど、喧嘩は対等な立場だからこそ起こるもの。

私たちは進んでいくわ。どんなにあなたたちが止めて来たとしても。』

『女神よ……もう貴方は、神の存在とは程遠くなった…なぜなら我らの考えを理解できないからだ……

もう貴様に、頼ることもないわい。』

『元々女神でもなんでもないもの。別に構いません。

それに……私だって、償わなければならない……

今世では、誰も、神も仏も恨まないような素敵な世界を作ることで……もう、私のような過ちを犯す人を作らないようにね。』

『……仏…？』

『………。無駄なことを話したわね。さようなら。』

「人間よ。」

「どうした？アガレス。」

「「理想郷(アルマトラン)」というお前の今の提案に…我々は驚いている。そして大いに困惑している。何故ならば…

我々は人間と決して対等ではないからだ。

人間は我々と違いすぎる……」