理想郷.25［マギ］ (ページ13)

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結局、その鱗狼とシバは横に並んで座る羽目になった。

横でポケーーッとどこが空中を眺めている鱗狼を、シバは横目にチラリと見る。

(ど…どうしよう…？何考えてるか全然分からないもの…！)

するとジッ！と鱗狼もこちらを見下ろしてきた。
そして何やら一生懸命喋り出すのだが、全くもって理解できない。

「ぜ…全然わかんないってば！！」

鱗狼はゴソコソと玩具の山から何かを取り出した。
本のようなもので、それを地面に置き、ペラリとページを長い爪でめくって見せた。

(絵本なのかな？わけわかんないけど…)

そのページには何やら人間のようなものが書かれているが、ふなふなとしている。

「ずいぶんへたくそな絵の本ね。」

シバは杖でガリガリとほんの隣の地面に線を引き始めた。

「何やってんだ？」

ソロモンが後ろから聞いてきた。

「お手本を見せているのよ。これが魔導士というものでしょう。」

書き終えた絵を、シバは自慢げに腰に両手を当てながら鱗狼にも見せた。

「おお！うまいもんだなお嬢ちゃん！」

そのお嬢ちゃんっていうのやめてよ、とシバは言いながらも満足気だった。

「私、絵を描くのは教会の他の子達よりちょっとは得意だったもの！」

ガリガリ、と鱗狼は長い爪でその魔導士の帽子の部分に花を付け足した。

「ああ…さっきくれた花は頭につけるものなのね？」

ドーン…

シバはその花を頭に付けた……というよりも乗せたのだが、大きすぎて後ろにコテンと倒れてしまう。

「重いよこれ……」

シバが顔を赤くしながら頭を抑えて倒れたまま言えば、鱗狼はにっこりと嬉しそうに笑ったのだ。

頭に手をやったり、なにやら手を動かし精一杯シバに感想を伝えようとする鱗狼を見て、自然とシバも笑みがこぼれてしまった。

ソロモンとグロリアは、地面にお絵描きをしたりしながら楽しく遊ぶ二人を見て微笑んだ。