理想郷.25［マギ］ (ページ1)

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第216夜その名はソロモンページ1

ワァア

ワァア

(誰…？外で…声がする…私を…迎えに来てくれたのかな……？)

「ワヒード！セッタ！右翼に増援！ファーラン！アルバ！ワヒードたちに続きそのまま中央門を突破しろ！」

「「了解！」」

「くそっ…神意に背く「浮上の者(ダエーフ)」共めが！！」

ブワッッ

「それはお前らの方じゃろう！！」

ビキビキッ

「クールじゃないな、盲信者の群れは。」

ドスドスドス

「一途な馬鹿ほど扱いやすいアル。」

バタバタバタッ

「……キモ。」

ドカバキ

「坊ちゃん！姫！イスナーン、ウーゴ、先へ！！」

「「雷電(ラムズ)」！」

ズガアン！

「ぐああっ！」

「「神杖」を奪え！！」

バタン。

「！」

1人の少女は、何も服を纏わぬまま足が地面から生える植物のようなものと同化しており、背丈以上の杖を両手で持ちながら、薄く目を開けて扉の方を見た。

(私を迎えに…やっと天からお迎えが…でも、目が霞んで…もうよく見えない…)

「ほかの動力室は全員死んでた…」

「あの子もフラフラだよ…」

イスナーンとウーゴが言う。
その間に立っているのは青髪の少年と、白髪の少女だった。

「あいつは「神杖」を使うためだけに働かされてる魔導士だ。「神杖」は強力だが、魔力をイル・イラーから受け取りすぎる。杖の主の命を削りとる。あいつはクソオヤジどもの消耗品なのさ…」

少年はそう言うと、「お、おい！？」とウーゴが声をかけるのも無視して、真ん中の少女の元へ歩いた。

「…？」

バチバチ

彼女の立つ丸い円盤を囲む強力な防壁魔法に、彼は触れた。ブシュブシュと腕から血が出る。

「お、おい大丈夫か！？」

「まあまあ、待っていなさいよ。」

にっこりと笑顔でポンポンと二人の肩を叩く白髪の少女。

「……！？」

「おまえの望む迎えは来ねえ…生きるために俺と来い！」

彼の手はしっかりと少女の腕を掴んだ。

「あなた…誰…？」

＿「ソロモン。」

イル・イラーがすべての人間に「魔法」を与えて800余年…「理想郷(アルマトラン)」の建設計画は頓挫していた。崇高な志を魔導士たちは忘れ…

圧倒的な魔法の力を背景に異種族たちに圧政を敷いていた。

魔導士たちは、異種族の領土に「愚々塔(グヌード)」という巨大な魔法装置を建造し、そこから思考能力を奪う精神感応系魔法を発し、人間以外の知的生命体から知能を奪いさり意のままに従わせ搾取していた。