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だが黙ったままのアリババに、アブマドが何か言おうとして口を開いたとき、後ろに立っていたサブマドがそれを止めた。
「は、話を聞いてやろうよ…アブマド兄さん…あ、アリババは…ちゃんと考えて話せる奴だよ…ぼ、僕はそれを知っているから…」
アブマドは黙ってアリババを見つめた。
なんだ、サブマドとかいうやつは良い人なんだ。とAは感心した。
「……アブマド兄さん…知ってると思うけど…宝物庫の事件は俺のせいだ…
父上が亡くなったのも…俺が原因も同然だ…あの時…自分は消えない罪を犯したと思ってる…
でも…なぜ…「霧の団」が宝物庫を襲ったのか・・・・？
なぜ今、みんなが、王宮に押し寄せているのかを…考えてくれ！あんたの国民の気持ちを！
今の政治で貧しい人たちが、死ぬほど苦しんでるってことを！スラムで育った俺にはわかる…
だから今日、ここに来た。
この国の、国王たるあんたの力で、国民の生活を、これからは全力で守ると約束してくれ！
そうすれば、俺は「霧の団」を解散する！」
アブマドはただアリババをじっと見つめると、スッと杖を振った。
すると周りにいた兵士が槍でアリババをグイグイと押した。
「！？」
「言いたいことはそれだけか。」
「待てよ！約束は…」
「無礼ぞ。」
「えっ？」
「下賊の者が、王族に語り掛けるは無礼であるぞ。
余は第二十三代バルバッド王国・国王アブマド・サルージャ。
下賊の者と語らう口を持たぬ。
スラムの広い子を、弟などと思うたことはない。そちの首、シンドリア国王殿の庇護なくば、とうに飛んでいることを忘れるな。」
その冷たい目に、ゴミを見るような目に、Aは苛立った。
アブマドはハァッとため息を吐き、「下がれ。予は気分が悪い…王宮の外にウジがたくさん湧いていて…」
うじ？
アリババはポカンとすると、
「ふざけるな！！！！！！」
王宮全体に響き渡るような声を上げた。
「自分の国民をそんな風にぬかすお前に！！！王の資格なんてない！！絶対にない！！」
周りの兵士たちも、驚いていた。
「おや、これはなんの騒ぎですか？アブマド王よ。」
「…！？」
そこを静する声が聞こえた瞬間、Aはうつむいたピシリと固まり、その声の相手を思い出し目を見開いた。
「おお、戻ったのか「銀行屋」！」
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作者名：氷空音 | 作成日時：2021年4月2日 16時
