１ ページ40
「お前は何も知らないだろう。
シンドバッド王が、
どれほど自分を犠牲にして生きてきたのか。」
ジャーファルはカツカツとカシムの前に行き、首元を掴んで刃を引いた。
「知らない野盗が…」
ザシュッ
そしてそれを振り下ろした。
だが、それはシンの手により止められる。
「やめろ、ジャーファル。」
ジャーファルははっとして、すぐにササッと二歩ほど下がった。
「……すみません！！」
「ああ。」シンは微笑み頷いた。
いつも優しいジャーファルの裏側が見えた気がして、Aはゾクッと背筋が冷えるのを感じた。
いや、もしかしたらそれは…ジャーファルの本当の姿なのかもしれない。
「わかった…わかったから、俺たちどうすりゃいいんだよ！？」
アリババはカシムをかばうように立ち、シンに聞いた。
「仲間にしてくれるのか、ありがとう。」
シンはジャーファルに手に包帯を巻かれながらニッと笑った。
「ジャーファルおにいさんはちょっと怖い人だったんだね。」
「まぁ時々…」アラジンのつぶやきにマスルールはコクリと頷いた。
「かっこいいぃ…」
「…えっ」
Aの突然のつぶやきに意外にも驚いたのはモルジアナだった。
(Aさん…ああいう人がタイプなのかしら…)
(ジャーファルさん…やっぱり優しいし強いし裏がかっこいいし最強の大人なのでは！？
うわーっ！憧れる！！)
Aはただジャーファルのファンになっただけだった。
・
「では、さっそく行動しようかアリババ君。」
「行動？」
「君は僕と今から、バルバッド王宮に行くのさ。」
「！？」
突然すぎる提案に、アリババも周りの人も目を丸くした。
「何が仲間だ、結局アリババを王宮に突き出す気か！！」
「違うよ、話をしに行くだけだ。」
声を荒げるカシムにシンは微笑みながら否定した。
「アリババ君、君は言っていたね。「民衆の支持を得たら身分を明かしアブマドと話をつける」と。それが今と言うことだよ。」
(？？どこで話聞いてたんだ？この人？？)
国の王が壁に耳を当て盗み聞きしていたなんて言えない。
「君はすでに民衆の支持は得ているし、君の身分は他国の王たる俺が保障しよう。民衆にも宣言すればいい。
その上で君は、「霧の団」頭領 兼 バルバッド国第3王子としてアブマドと話をつけるのだ。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 80人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：氷空音 | 作成日時：2021年4月2日 16時
