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「まさかそこにアリババがいるとは思わなかったよ…うん、本当は、名前を聞いたときからもしかしたらって考えてはいたんだけどね？
…信じたくなかったの。私、前にもこんなことあったからさー。もう、うんざりだしぃ、みたいな…あはは。」
Aは眉を下げ笑ったが、すぐにその目は伏せて、長いまつ毛が覆った。
「……私、全部かけてここへ来たのよ。家出だってしたし、服だって捨てたし…
アラジンも、ただアリババを捜すためだけに…ここに、来たの…。
なのに約束を今さら破られるとか、まさか、そんなこと思ってもいなかったけど…。
勿論、すごく嫌だ、悲しくて辛くて…たまらない！！！私、アリババを信じてたから！！」
「…っ、」
「だから、嫌いに、なっちゃうから…
ねぇ、きっと、理由があるんでしょ？教えてよ。貴方が「霧の団」にいるワケを。
…まだ、好きでいさせてよ。」
＿嫌いになっちゃうから。
眉を下げて悲しそうに、けどきれいに笑う彼女の笑みは、月明りに照らされ、
アリババの目にはより美しく映った。
すぐにアリババはうつむいた。
嬉しかった。
Aがそんなに自分を信じてくれていたと、
待っていたと思わなかったから。
同時に罪悪感が彼を襲った。
どうしようもなく襲った。
まだ、好きでいさせてよ＿。
その言葉が、この瞬間に似合わない感情を抱かせた。
嬉しい。やっぱりうれしい。
彼女が、自分をまだ好きでいてくれていることが。
ここまでした自分に、まだ戻させてくれる道を与えてくれていることが。
「A…アラジン…前に、「第7迷宮」で話したよな……」
ポツリ。
「お前の友達のウーゴくんを紹介してくれって。
でも先に…俺の友達の話を聞いてくれるか？」
「うん、いいよ！」
「勿論。」
「そいつは…
カシムっていうんだ。」
マギ四巻・終わり＿
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作者名：氷空音 | 作成日時：2021年4月2日 16時
