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川上side


何度か打ち合わせで使ったことがあるカフェに来てから、早くも一時間が経過していた

あまり遅くなると家の人も心配するだろうと、話を切り上げようとしたところで、ふと彼女の違和感に気がつく


…葉月さんって、左利きだったっけ?


ここ一時間の事を思い返すと、コップも左手だったし、ケーキも食べにくそうに左手で食べていた

ナプキンを取るときも右手をあげようとして、わざわざやめてたし…あれは多分、本当は右利きだ

…って、ここまで見てるの普通にヤバイな、俺


「葉月さん」

「は、はい」


外を眺めていた彼女の名前を呼ぶと、ハッとしたようにこちらを向くまだ幼さの残る顔


『子供が遠慮せんの』


その顔に、つい一時間前に自分で言った言葉がよみがえって、一人胸を痛める

こうやって名前を呼べる距離に居るのに、いつでも触れる事ができる距離に居るのに

よりお互いを知るうちに、あの日の様に易々と触ることが出来なくなってしまった

それは、意識しているからというのと同時に、俺はただの成人した男でしかないのだと改めて実感したから

大人、という壁を、どうやっても壊せないと知ったから


「川上さん…?」

「っあ、あぁ、ごめん」


考え事をすると周りの声が聞こえなくなるのは、俺の改善すべき点だと思う


「…あのさ、右利きなら、右手使った方がいいと思うけど」

「えっ」


しまった、というようにわざとらしく右腕に左手を添える葉月さん

なにか右手を使えない訳があるんだろうか?

どこか、誤魔化すような笑顔も、無理しているように見えるし


「い”っ…」

「あ、ごめ」


隠し事をされてるという事実が、少しだけ嫌で

机の上に置かれている右腕を軽く掴むと、ほぼ反射だったのだろう。一瞬で腕を引かれてしまった

そんなに強くは握ってないはず。それくらいの力加減は出来てるつもりだ

…もしかしたら、出来てなかったのかもしれないが。ただあの痛がり方は、少し可笑しい

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作品ジャンル:恋愛
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白菜(プロフ) - すずどらさん» こちらこそコメントありがとうございます。とても励みになります。誰かの心に響くような話を書くことができて良かったです。更新頑張ります (2019年12月15日 16時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - あやかさん» こちらこそコメントありがとうございます。誰かを好きになるって大変なんだな、と書いた本人ながら思ってます。これからも切ない恋の模様を見守って頂けたら幸いです (2019年12月15日 16時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)
すずどら - 僕の推しは川上さんなので凄く嬉しかったです。せつない作品で、とても良いな、と心に染みています。また、続きを楽しみにしてます。頑張って下さい。 (2019年12月15日 10時) (レス) id: 66850163cc (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - せつない作品をありがとうございます。現在さめざめと泣いております…。続きをお待ちしております。どうぞよろしくお願いします。 (2019年12月15日 0時) (レス) id: 7a1dedd698 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - Qさん» こちらこそいつもコメントありがとうございます!!無料世界一周旅行出来るくらいの作品が書けているかはまだまだ自信ないですが、そう言って貰えると本当に嬉しいです!!Qさんもインフルエンザにはお気をつけて! (2019年12月9日 14時) (レス) id: f8ddf3423a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:白菜 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年12月7日 23時

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