同じ部屋買っちゃった！〜藤北〜

16 ページ16

Ｆside




向かい合わせという距離感が、少し緊張する。









『．．．じゃあ、俺ビール飲んでもいい？』









まだビールが飲めない俺に気を遣ってか、遠慮がちに聞いてくる。









｢いいよ！全然！｣









明るく返すと、そんな表情も明るくなった。









『じゃあおっさん！ビール！』









．．．それにしてもビールが頼めた事が嬉しそうな北山。









｢なんでそんなに嬉しそうなの？｣









『ん？あー、だってビール頼めるのここぐらいなんだもん。ここは何年も前から通ってるからおっさんも年齢知ってるけど、ほかの店行くと２０歳に見られないからいちいち身分証出すの面倒くて。』









｢．．．そうなんだ(笑)｣









『バカにしたな？』









｢いやいや！｣









でもそう言ってあからさまに拗ねたりしてるから子供っぽく見えるんじゃ．．．？









『お〜〜〜！もんじゃっ♪もんじゃっ♪』









いつの間にか、大きな鉄板にキャベツがゴロゴロ入ったもんじゃが投入されていた。









ｼﾞｭｰ ｼﾞｭｰ









『よ〜し！そこら辺固まって来てる？』









専用のヘラのようなものを持ち、今か今かと待ち構えている北山。









『あっ、そこ！』









豪快に！と思いきや、優しく丁寧に下の方からすくい取っている。









『はいっ、食べるか〜。いただきますっ。』









俺の分もしっかり取ってくれていて、そういう所はやっぱり年上なんだと感心する。









『ぶふぇ〜〜〜。ビールうめぇ〜！』









あからさまに美味しそうに飲む北山に、苛立つどころか愛しさを感じてしまっている俺。









．．．変態だな(笑)。

17→←15

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す