a.1 始まり ページ2
朝起きると
私は過去にループしていた。
4月8日いつもと同じ。
5時30分に設定した目覚ましの音で目が覚める。
まだ薄暗い窓の外まだ少し肌寒い朝だった。いつもと何も変わらない。そのはずだった
6時
いつも通り一番に起きてきた蓮がキッチンに姿をあらわす。
「姉さんおはよ」
「おはよう、蓮。今日から2年生ね」
そういうと蓮はなぜか怪訝な表情に変わる
「え?姉さん寝ぼけてる?俺今日から1年だよ。2年になるのは姉さんでしょ」
大丈夫?と顔を覗き込む蓮
おかしい
急いでポケットに入れていたスマホを開く
2017年4月8日
正しいのは弟
しかし私の記憶はしっかり2017年の一年間を記憶していた。
私は今日から3年生になるはずだった。
何かがおかしい。
それから桜と桃、葵、椿も起きてきたがみんなが今日は2017年だという
どうなってしまったの??
それから数日が過ぎた
私は2度目の2年生生活を送っている
そんなある日
「ループ! 意味が分かるヤツは放課後、屋上……」
突然授業中になった放送
それだけ言うと、放送は教師の怒鳴り声と共に途切れた。
ざわめく教室
しかし牡丹の耳には届いてなかった
放送の通りに放課後、屋上に向かう牡丹。
ギィギィと音を立てる古びたドアを開けると、そこには数人の生徒がいた。
「あれ?弥生ちゃん?奏音さんも・・・」
見知った顔に驚きを隠せない
お互い困惑した表情
すると突然背後から男の声がした。
「おめでとうございます。アナタさま方は、このゲームのプレイヤーとして選ばれました! なので、早速チュートリアルを始めましょう」
空気から溶け出すように現れた男。
その周りから黒い影が湧き上がり、襲いかかってくる
その瞬間、手に持っていたスマホから、1匹の動物が飛び出してきた
小さい体に大きな耳
フェネックだ
綺麗な金の毛並みのフェネックは牡丹を一瞥すると、その姿を一冊の本へと変える。
表紙に書かれてあるのは見たこともないまがまがしい文字
もちろん読むことなんてできない
でもなぜか
何をしなければいけないのかがわかる
周りを見ると
剣やハンマー、弓
それぞれ武器をもって襲い来る影と戦っている
(ちがう、私ができるのは戦うことじゃない みんなを支えるんだ)
牡丹は本を抱え、怪我をした少女に駆け寄った
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作者名:ふゅー | 作成日時:2018年5月1日 21時