【名探偵コナン】Sangria【赤井秀一】

＊ ページ45

けれど、姉はいつの間にか隣にはいなくなって、私以外に愛する人を見つけ、私は1人になりました。

けれど、別に寂しくはなかった。
私は姉が幸せでいてくれれば、それで良かったから。

私の願いは、姉が幸せにこれからの人生を過ごしてくれること。
私のことなんて忘れて、この真っ黒な組織とは遠いところで生きて欲しい。

あの人がFBIだったことは意外だけれど、2人で逃げ切って、顔がしわくちゃになるまで一緒にいればいい。それが叶えば、私はいいの。

でも、ひとつ我儘を言うなら、私もそれを見たかったなぁ、なんて。


.


最後に、小箱の中身は組織が、そして私達家族が全身全霊をかけて制作した薬、その名も"APTX(アポトキシン)4869"
母はこの薬を"シルバー・ブレット・銀の弾丸"と呼んでいました。

貴方に命の危険が迫った時に使ってください。
運が良ければ、逃げ仰せることが出来るはずです。

私はラボから逃げます。
このまま1人残っても、利用された後殺されるだけ。
逃げ切れるかどうかは別にして、1歩踏み出してみようと思います。

華夜さん、貴方が外の世界の美しさを教えてくれたから、今の私があるの。

あの夜のことも含め、全てにとても感謝しています。



本当にありがとう。
またいつかお茶でもしましょう。




草々


宮野志保



ｰｰｰｰｰ




まるでプレゼントのように綺麗に包装されたそれのリボンを解く。ゆっくりと箱を開けると、その中には紅白の小さなカプセルが大量に入っていた。

そうだ、確かあのラボの時ーー



"その薬って、どんな薬なの?"
"それは...ちぃとばかりまだ早いな。任務が無事終了して、お前がシェリーを護り終えたら話そう。"



『そうだ、あの薬だ!! でも...』



"貴方に命の危険が迫った時に使ってください。
運が良ければ、逃げ仰せることが出来るはずです。"



これは一体どういう意味だ？
"APTX4869"は毒薬じゃなかったの?


それに、ジンはこの事を.....いや、隠れてこの手紙を出したと考えるのが妥当だろう。



一体組織に何が起こっているんだ...



志保ちゃんの姉のこともだ。
確か、姉の名前は宮野明美

それに、ライが生きている?
てっきり殺されたものだと思っていたけれど...

あ、そうか



だからジンはあの時、私をを尋問したのか。



ずらりと並べられた資料に再び目を落とす。

で、




『この"工藤新一"と何の関係が...』




高校生探偵を名乗る男
最近消息を立っているらしい

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