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君のいる朝 18 ページ22

「集中が途切れているぞ、馬鹿弟子」

凛と、玲瓏な声がする。キャスターは無意識に眉を寄せた。
立ち入り禁止のはずの医務室の扉を空け、女が平然と立っている。

「……スカサハ」

キャスターは苦い気持ちで、女の名を呼んだ。

ーーーースカサハ。クー・フーリンにゲイ・ボルグを授けた影の国の女王。第5の特異点では、狂王と対等とはいかずとも渡り合った女。そして、クー・フーリンにドルイドの導き、つまりはキャスターという存在の未来の鍵となるルーンを教えた、師。

この女に、一度としてかなったことはない。

スカサハは虫の息で眠る狂王を見下ろし、ふむ、とひとり頷く。

「どけ。私がやろう」
「おいっ」

キャスターを押しのけ、スカサハは心臓の上にしなやかな指を置いた。それだけで魔法陣が現れ、たちまちのうちに血液の巡りを整えて、裂けた血管が繋ぎ合わされていく。

「よし」

固まった血を拭えば、見た目だけでは傷を負ったとは信じられないほど狂王の身体は元通りだ。
キャスターが2度3度手をかけなければできないことを、スカサハは瞬きのうちで行ってしまった。
あまりの手さばきに思わず見惚れるキャスターの耳を、低い声が打った。

「キャスター、お主、ルーンを血で穢したな?」
(ああ、やはりその話か)

スカサハがここを訪れるならこの話しかない。

「血は媒介にもなるがルーンは古語。神代のものにとって血は穢れ。お主の魔力を下げると、確かに教えたがな? ん? それとも歳を食って耄碌したか」

言葉選びはからかいのそれだが、詰られているようで、キャスターはヤケになって吐き捨てた。

「……なら、あんたならどうしたんだ。あの場で!」
「決まっておろう、殺すさ」

明日の天気でも言うような軽さだった。

「マスターにはできまい。あれは戦場に行くには優しすぎる、それはお主もよく知るところだろう? ならば我らサーヴァントが代行してやる他あるまい。ああ、クラスがどうの技量がどうのなどと言い訳はしてくれるなよ」

ーーーー槍を持たずとも、たしかにお前はクー・フーリン。私を屠る可能性を秘めた男なのだからな。

スカサハは笑う。

「心底あの女(マスター)に惚れているなら、時に傷つけることも厭うな、セタンタ」

幼名で呼ばれるいたたまれなさを植え付け、スカサハはさっさと身を翻してしまった。

「言いたいことだけ言っていきやがる」

居心地の悪さに喉が焼けるようだ。キャスターはぎ、と奥歯を噛んだ。

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Sandoriyon0000(さんどりおん)(プロフ) - 碧依さん» わわわわ感想ありがとうございます!!2度もいただいてもったいない……!は、発狂!そこまで萌えていただけて嬉しいです!いつも応援ありがとうございます、3部頑張ります! (2018年1月11日 0時) (レス) id: 1352ea05b0 (このIDを非表示/違反報告)
Sandoriyon0000(さんどりおん)(プロフ) - ありささん» はじめまして!感想ありがとうございます!1章から読んでいただけて嬉しいです!3章楽しみにしていただけている気持ちに答えられるよう頑張ります、応援ありがとうございます……! (2018年1月10日 16時) (レス) id: 1352ea05b0 (このIDを非表示/違反報告)
碧依(プロフ) - 第2部完結おめでとうございます!最後の方は超絶キュンキュンして悶えながら読んでました← もう心の中で発狂してました← 第3部も続くとのことで、とても嬉しいです! 心待ちにしています! これからも頑張って下さい! (2018年1月10日 14時) (レス) id: e83e0a514a (このIDを非表示/違反報告)
ありさ(プロフ) - はじめまして、一章から楽しく読ませていただいております!三章が凄く楽しみです!これからも頑張ってください!! (2018年1月10日 13時) (レス) id: 5124bcd214 (このIDを非表示/違反報告)
Sandoriyon0000(さんどりおん)(プロフ) - いよりさん» はじめまして!感想ありがとうございます!1章かは2章まで読んでいただけて嬉しいですありがとうございます……!3章もハラハラドキドキ、きゅんきゅん多めな展開を目指して頑張りますので、よろしくお願いします! (2018年1月9日 21時) (レス) id: 1352ea05b0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Sandoriyon0000 | 作成日時:2017年12月13日 23時

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