167#Sheer madness ページ28
(Side,夜鳥)
十八時まであと少し、と云った所だろうか。
奥の部屋に入り、鍵を閉めてしまった林太郎さん。
俺の隣ではエリスが絵を描いていた。
「……夜鳥はリンタロウの事、好き?」
「え? あぁ、好きだよ。父親として、ね」
「嘘。Aとは違って貴方には従う理由が無いものね」
「何だ……バレてんのかよ」
「別に云わないわよ。本音を聞かせて頂戴」
はぁーあ、と体勢を崩してカップに残る紅茶を飲み干した。
異能生命体同士、こうして言葉を交わす事は多かった。
久々の二人きりだった。
「要するにAが生きていればそれでいいんだよ。林太郎さんは彼女を殺さない。心を殺したとしても」
「へぇ……生きる人形であってもそれでいいと?」
あぁ、そうなるなら
結果として彼女が死ななければ、それで。
「俺はAでAは俺。表裏一体の存在。俺はエリスと違って確立した人格をAの中で得ている異形の異能生命体だ」
「えぇ、そうね」
「Aが死ねば俺も死ぬけど、
俺がAに成り代わって生き続ける事は出来る。Aが第一人格であるからAが主であって、俺が表に立てばAは深層意識となる。
「夜鳥ったら案外悪どい事をお腹の中で燻らせてたのね」
「あははは! 俺の中で生きるAも可愛いなと思って」
俺が表の意識になれば、Aは傷付かない。
俺は……Aを護りたくて____
『いやぁああああッ!!』
「「っ!?」」
「何……」
「リンタロウ、Aに何したのかしら」
「俺聞いてくる」
扉を
起きて驚いたのか。それとも何かされたか。
……今、林太郎さんを刺激すると立場が拙いか。
「はぁ……お手上げだ」
「今日は随分と控え目なのね」
「エリス」
「なぁに、夜鳥?」
「俺少し執務室行ってくる」
「あぁいいわよ。リンタロウが出て来たら伝えておくから」
「ん、有難う」
外套を羽織り、首領室を出る。
第二釦まで外し、
「【冬虫夏草・“デミアン”】」
此処からは全てが敵だと疑う必要がある。
誰も信じるな。
((信じていいのは、互いだけ____))
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綺弌(プロフ) - Ratte*らてさん» 何回でもコメント嬉しいです(*´∀`*) リクエストの方、承りました! 頑張って練り練りしたら番外投稿しますので、またお知らせしますね! 有難う御座います!! (2018年11月26日 21時) (レス) id: 8d4a337e5e (このIDを非表示/違反報告)
Ratte*らて(プロフ) - 綺弌さん» 改めて関連ランキング2位、御目出度う御座います!何回もコメントは失礼かなと思いリクエストは控えていたのですがリクエストよろしいでしょうか……!太宰さんと夢主ちゃんがいちゃいちゃしててそれに嫉妬する夜鳥くんお願いしたいです(夜鳥くん本当に可愛いんですよ (2018年11月26日 19時) (レス) id: 112e01abc9 (このIDを非表示/違反報告)
綺弌(プロフ) - Ratte*らてさん» いつもコメント有難う御座います! 趣味とはまたすごい(笑) そろそろ書き貯めの為に少しお休みを頂こうかと考えていたりします。待って下さる読者様の為にも頑張りたいと思います。 (2018年11月26日 18時) (レス) id: 8d4a337e5e (このIDを非表示/違反報告)
Ratte*らて(プロフ) - 続編おめでとうございます!この小説を読むのが最近の1番の趣味になって来ています(笑)。更新スピードがやっぱり早くて心配ですが頑張って下さい!綺弌様を心より応援しております。 (2018年11月26日 18時) (レス) id: 112e01abc9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:綺弌 | 作成日時:2018年11月26日 11時