73#Get your fangs out! ページ28
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「七十万、そんなに欲しかったんですか」
「だって七十万だよ、夜鳥君!!」
「あ、はい。ソウデスネ」
たかが七十万。
少し前の私達であれば七十万など
されど七十万。
無一文である敦さんには、喉から手が出る程の額だろう。
その時、潤一郎さんの携帯が鳴った。
依頼との事だった。
『これ飲み終わってから行く』
「俺も」
「じゃあ、先に戻ってるよ」
先に上の階へ戻った社員の皆。
カップの半分程、冷めた紅茶が残っていた。夜鳥の珈琲なんて、とっぷり並々と。
ゆっくりと飲み終え、席を立った頃。丁度敦さん達が出て行くのが見えた。
「……A」
『うん、判ってる。一葉さんが接触して来たみたい』
「太宰さんには?」
『いい。干渉しない。でも上で何か云われるのは確か』
「臨機応変に、って事ね。了解」
探偵社へ戻ると案の定、治さんに呼び止められた。
ご丁寧に龍之介さんの写真を見せながら、「……何が云いたいか判るね?」と。
『
「そう。
治さんは私の頭を撫でるとにっこりと笑った。
夜鳥は道具を揃えて私に鞄を突き出した。
「早く追うよ」
『うん』
夜鳥に手を引かれて飛び出すが、見える範囲の道に彼らはもう何処にも見えない。
手帳を開きながら潤一郎さんの位置を追う。
「物音がする。此処?」
『そう、此処』
既に血生臭い。
気配は……五つか。
夜鳥と
「異能力【
『……』
「! A嬢……!?」
「A……!」
「ぐぅうううう」
夜鳥の作り上げた障壁にぶち当たる二人。
私はそのまま異能が操れていない敦さんに触れた。
『人虎。ううん、敦さん。私の声を聞いて』
「う……A、ちゃん……?」
『っと……』
正気を取り戻して倒れたところを受け止め、そのまま地面にゆっくりと降ろし、背後で威嚇を続ける夜鳥の隣に並んだ。
『お久し振りです。龍之介さん、一葉さん』
「何故、今更……」
「A嬢! 今まで何処に!! 首領も心配して____」
『心配? ……するわけないでしょ。笑わせないで』
私はあの人の人形。手駒。娘の私なんて二の次。
(今は日向の人間してるの私)
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綺弌(プロフ) - 秋野楓さん» コメント有難う御座います。双子ちゃん人気で嬉しいです! 夢主ちゃんと誕生日が同じとは……! Sanatorium.は現在パート4まで、また番外編の受け付けもしています。これからも頑張って行きますね〜 (2018年11月27日 0時) (レス) id: 8d4a337e5e (このIDを非表示/違反報告)
秋野楓(プロフ) - 初コメ失礼します!夢主ちゃんと片割れくんのコンビ素敵ですね!実は夢主ちゃんと同じ誕生日でびっくりしてコメントしてしまいました…笑これからもがんばってくださいね! (2018年11月27日 0時) (レス) id: 0550af0881 (このIDを非表示/違反報告)
綺弌(プロフ) - Ratte*らてさん» コメント有難う御座います。キャラ誉めて頂けて嬉しいです! 日々、ゆっくりと頑張っていきます。 (2018年11月1日 22時) (レス) id: 8d4a337e5e (このIDを非表示/違反報告)
Ratte*らて(プロフ) - いやー…夢主ちゃんも片割れくんも可愛いですねぇ…、癒しです。更新応援してます頑張って下さい!! (2018年11月1日 21時) (レス) id: 112e01abc9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:綺弌 | 作成日時:2018年10月26日 3時