不二周助は私の兄。

10 ページ10

.

そこから担任の先生からちょっとした説明を聞き、クラスごとに体育館に移動するみたいだ

うん。担任の先生も良い先生みたいでよかった。廊下に並んでいると丁度のタイミングで携帯が震える

"クラスはどうだった？今から始業式だよね。何も無い？？何かあったらすぐにお兄ちゃんに言うんだよ。それでもどうしてもまずかったら帽子を反対に被ってる目つき悪い人に言うんだよ。でも極力話しかけなくていいからね。だいすきだよ"


うわ…気持ち悪…なんだこの人……。
メールでこの気持ち悪さすごいな。なんで時間ぴったりでくるの。気持ち悪……。
慣れたと思っていてもやっぱり気持ち悪いものは気持ち悪い。

兄のあまりの気持ち悪さに頭を抱えていると向かいの列の長太郎くんは察してくれたみたいでクスクス笑っている
やっぱり長太郎くんの笑顔は暖かくて、落ち着く。

そんなことを考えていたら列は進んでいたみたいだ。若干遅れてしまったため少しかけあしで前の人に続く
大人数が集まる式は正直苦手だ。
それでいて校長先生の話は大抵長い。

この学校の校長先生もそうだったみたいでかれこれ15分は話している。そろそろ足が辛くなってきた
入院生活が長く、体力が人よりないこともあるだろう。けれどみんなと同じ生活を送ると決めたのは私だ。そんなことは理由にならない
そうは言っても体は言うことを聞いてくれないみたいで



一瞬にして上下左右



___気づくと白いカーテンに白い天井。あぁ、なんだかちょっと懐かしい。

って違う！まずい、初日からやってしまった……。一応先生は事情を知っているとはいえ、クラスメイトは何も知らないわけで。
うわぁ……どうしよう。これ。すごくまずい。

「わ、Aさん起きた？大丈夫？」

声のする方に顔を向けるとあたふたしている長太郎くんがいた
身長の高いはずの彼が小さく見えて何というか、可愛いと思ってしまう

『あ、長太郎くん』

「あ、じゃないよAさん！心配したんだからね！」

それは怒っているのか…？眉間にしわを寄せ、両手を握りしめて上下にブンブンと降っている。

『心配してくれたんだね、ありがとう』

やっぱり長太郎くんと一緒にいると自然と笑顔になれるなぁ
私は少し微笑んで感謝を伝えた
すると落ち着いたのか長太郎くんピタリと止まって

「それは、反則だよ…」

11→←9

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す