不二周助は私の兄。

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『まだ何かあるの……？』

やっぱり初対面の人はこわいみたいで
それでも震えながら声を出す

「名前、聞いてなかったから」

『な、名前？不二Aです』

「ふ〜ん、俺は日吉若だ。まぁよろしく」

私はこんなこわい人とよろしくするつもりは無いのだが、長太郎くんのお友達ならまた顔を合わせる機会があるかもしれない

『よろしく、ね。日吉くん』

「あぁ。じゃあな、鳳と不二、A」


なんか歯切れの悪い感じだけど、知らない。自分からは関わらないだけだ

「Aさん、そろそろ戻ろっか。連れ出しちゃってごめんね」

困ったように笑う長太郎くん
あぁ、彼はやっぱり優しい。

『ううん、平気。新しく知り合いができて良かった！ありがとう』

なんて、本当は少し怖かったけれどほんの少しの嘘でそれを隠す
なんとなくだけど、長太郎くんを傷つけたくはない

「そういえば、Aさんは入る部活決めた？」

『あー……まだ決めてないかな』

「そ、そっかぁ……あの、良ければなんだけど、その、」

長太郎くんすっごいあたふたしてる。ちょっとかわいい。

「テニス部の……マネージャーやってくれたり、しない？」

マネー…ジャー……

マネージャー！？！？


『わたしが！？』

「だめ、かな？」

また長太郎くんは不安そうな顔をする
こんな顔されたら、断れるわけないじゃないか

『うん、考えておくね』

でもここで答えを出すのは得策ではない。
長太郎くんがいくらいい人でも、それ以外の人が私なんかは嫌だと言ったらそれで終わりだから
自分勝手に決めることは出来ないよね。

チャイムが鳴り、私も長太郎くんも席につく
静かになる教室にまた胸が鳴るのを感じる
新しい生活が始まるんだ
私は静かに息を吸い込んだ

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