take care… ページ17
私はいてもたってもいられずに客席を飛び出した。
「ハリー・ポッターがスニッチをつかんだ！グリフィンドールの勝利！」
リー・ジョーダンの声に煽られるように会場は沸いた。
熱い声援の中、ハリーは地面に尻もちを着いたまま笑顔で応えた。
が、まだブラッジャーはハリーを狙っていた。
間一髪で素早く避けたが、ブラッジャーをどうにかしないと。
「フィニント・インカンターテム！」
ハーマイオニーの杖先からブラッジャーへと光線が走った。ブラッジャーは花火のように散った。
「大丈夫？」
「ううん、腕の骨が折れたみたい。」
先生方や他の生徒もわらわらと集まってきた。
「心配無用！今すぐ私が治してあげよう。」
いつの間にかいたロックハート先生が杖を懐から出した。
「やめて、ほっといて。」
ハリーの訴えにも先生は聞く耳を持たない。
「何を言う、気が動転してるね。」
そして、「ブラキアム・エンメンドー！」と杖を振った。
「うわ……」
ハリーの腕は折れるどころか骨がないかのようにぐにゃりとしなった。
「あ〜…まぁ時にはこんなこともありますね。だがまぁともあれこれで…。」
そう言って先生はハリーの腕を色々な方向に曲げて見せた。
「うわー……」
「もう痛くはないわけだ、それに骨は折れてないわけだしね。動きも良くなっただろう？」
ありえないくらいのスーパーポジティブだ。
「そりゃ、骨がないからだろ！」
ハグリッドも思わずツッコミを入れた。
ーーー
ハリーとマルフォイはすぐ医務室で処置を受けることになった。
マルフォイの怪我は大したことないはずなのにさっきからうー、だのあー、だのわざとらしいうめき声を上げている。
仕方ないから少しだけ見舞ってやることにした。クラッブとゴイルもいるし、突っぱねてきたらもう構わないつもりで近づいていくと、「痛いよぉ……」と情けなく顔を歪めた。
「そんなに痛むの？……まあ、お大事にね」
一声かけて、ハリーの様子を見に椅子から立上がろうとすると、ローブの裾に重みを感じて振り返った。
なんとその重さの正体は私のローブを掴んだマルフォイの手。
「どうかした？」
すると彼はハッとした顔をして「……ゴミが、ついてた」とそっぽを向いた。
ーーー
その夜、また物騒な声が聞こえて眠れなかった。
そういえば、この前ハリーもこの声が聞こえると言っていたけど、今も聞こえてるのかな。
私はそっと布団を抜け出した。
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作者名：そぼく | 作成日時：2023年3月27日 2時
